中学受験の内申点・調査書の合否への影響度は?私立中学・公立中高一貫校の準備の方法

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中学受験を検討している方の中には、小学校の内申点はどのくらい合否に影響するのか不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では中学受験における内申点・調査書などを詳しく解説しています。
記事内では私立中学と公立中学での影響についても分けて解説しているため、お子様の志望校に合わせて確認することができます。
中学受験を考えている方は必見です。

内申点の調査書とは?


まずはじめに、内申点の調査書とはどのようなものなのでしょうか。
調査書とは、生徒の成績に関することがまとめられている書類のことです。
出願する学校が生徒のことを把握する参考資料にするために、願書とあわせて調査書の提出も必要な場合があります。
この調査書は、学校の先生に依頼して作成してもらうため、提出する必要がある方は余裕をもって先生にお願いしましょう。

調査書はどこを見られる?

調査書には、生徒の学校の成績、学校での様子、出欠記録などが記載されており、主にこの3点が見られることが多いです。
成績では現在の生徒の学力がどれくらいなのかが見られ、学校での様子は普段の授業態度や生活態度、クラブ活動や課外活動に関する評価が見られます。
出欠記録は極端に欠席している日数が多くないかが見られます。

欠席日数が合否に与える影響

中学受験では欠席日数の影響は理由によって異なります。私立中は学力試験重視のため欠席が直接不利になることは少なく、公立中高一貫校では内申書が選考に関わるため影響する場合もあります。病気や家庭の事情による欠席は正当な理由があれば問題視されず、医師の診断書などで説明可能です。一方、不登校傾向による長期欠席は学校生活への適応を懸念されることがあり、面接で経緯を説明できるようにしておくと安心です。また、感染症による出席停止は合否に影響しません。

調査書はいつの期間を見られる?

調査書には小学5年生から6年生までの記録が記載されている場合がほとんどであるため、この2年間を対象として見られます。
受験校によっては、小学校3年生からの分が必要である場合もありますので、募集要項等を必ず確認しておきましょう。

内申点の計算方法と評価基準

中学受験における内申点は、小学校の通知表を基に計算されます。多くの学校では国語・算数・理科・社会・英語の主要5教科を中心に、5段階評価を合計して算出します。さらに音楽・図工・家庭・体育など実技4教科の評価も加わり、学校によっては実技の比重が高く設定される場合もあります。観点別評価(関心・意欲・態度など)も反映され、欠席日数や生活態度が加点・減点要素となることもあります。また、先生からのコメントには子どもの強みが書かれていることも多く、評価の対象になることもあります。

調査書は合否にどの程度関わる?

調査書が合否にどの程度関わるのかは、受験校が私立か公立中高一貫校かによって大きく違います。
私立では、調査書はあくまで参考資料程度としているため、多くの学校は合否に関係することはほとんどないといわれています。
また、調査書の提出自体を求めない学校もあるため、調査書はあまり重視されていないといえます。
しかし、極端に欠席している日数が多かったり、成績が低かったりすると悪い印象を与えてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
公立中高一貫校では、調査書は合否を判断する要素となります。
公立中高一貫校は、適性検査に加えて調査書に記載されている内容を重視する傾向にあります。
学校によって配点比率は違いますが、適性検査の内容8割、調査書の内容2割で総合的に判断されるといわれているため、合格のためにはかなり重要な要素になります。

調査書を書いてもらうときの注意点

調査書を書いてもらうときにはいくつか注意点があります。
まず、調査書が必要となったら担任の先生に依頼しなくてはなりません。
そのため、先生には提出期限に間に合うようスケジュールに余裕を持って依頼しましょう。
次に、先生には通常業務で忙しい中で作成していただくため、複数校受験を検討している場合はまとめて依頼しましょう。
生徒も一人だけではなく受験人数分の作成が必要になることもありますので、先生の負担にならないように配慮しましょう。
最後に、調査書の受け取りは必ず保護者が行うことが重要です。
子どもが受け取るとなくしてしまったりなど、調査書の中身が気になり開封してしまう可能性があります。
その結果、提出期限に間に合わなかったり、開封した形跡が残っていたりすると受験自体できなくなることがあるため、必ず受け取りは保護者が責任をもって行いましょう。

中学受験に内申点は必要なのか


先にも書いた通り、中学受験にあたって内申点の重要度は学校により変わってきます。
受験するのが私立中学のケースと公立中高一貫校のケースをそれぞれ見ていきましょう。

私立中学受験の場合

ほとんどの場合、中学受験というと私立を想定する方が多いでしょう。
私立中学を受験する場合、内申点の重要度はどの程度なのでしょうか。

私立中学受験の内申点:重視されないが注意点も

私立中学受験では、当日の学力試験が最も重視され、内申点が直接合否に影響することは少ないことが多いです。そのため、「内申点は不要」と言われることもありますが、まったく無関係というわけではありません。
極端な欠席や遅刻が多い場合、生活態度や健康管理への不安要素として見られる可能性があるため、常識的な学校生活を送ることは大切です。
特に面接を行う学校では、出席状況や生活態度について質問される場合もあるため、休みが多くなってしまっている方は、事前にどう答えるのかを考えておいたほうがよいでしょう。

私立中学受験で求められていることは?

私立中学受験において、もっとも重要なのは当日の学力テストでいかに得点できるかということです。
中学校側は、内申点よりも受験のテストで受験生の学力をはかります。
また、中学受験で要求されるその学力というのは、小学校の授業で身につけるものとはやや異なってます。
小学校で学ぶ内容は学習指導要領に従ったものですが、特に私立の中学を受験する場合はその範囲外のことも把握している前提で出題されるため、特別の対策が必要になります。
具体的には、算数において方程式を使わずに特殊な解法を用いたり、理科や社会において中学で習う内容や高校で触れる原理原則を含むような問題が出題されたりするのです。
そのため、仮に小学校の成績が良い生徒でも、中学受験にあたっては必要な知識が身についていない場合があります。

公立中高一貫校受験の場合

近年では公立の中高一貫校で受験入学ということも増えてきています。
公立中学の入試で内申点はどの程度合否に影響するのでしょうか。

公立中高一貫校の内申点:配点と評価のポイント

公立中高一貫校の入試では、内申点の割合が全体の2~3割程度を占める学校が多く、残りは適性検査や面接で評価されます。学力だけでなく、日常の学校生活を通じた総合的な力が重視されるのが特徴です。
内申点には、主要教科の成績に加え、授業態度、提出物、委員会や児童会での活動、部活動、ボランティアなどの「活動記録」が反映されます。評価項目としては「学習への意欲」「協調性」「責任感」「主体性」などが挙げられ、観点別評価や担任の所見も重要な判断材料になります。
そのため授業への積極的な参加や学校行事での貢献といった日々の積み重ねが、公立中高一貫校受検における内申点対策の鍵となります。

生活態度などもみられる

公立校の受検では、調査書から生活態度などを見られます。
具体的には日頃の授業態度、学校行事などへの取り組み方、バランスの良い人格形成ができているかどうかなどです。
活発で前に出るタイプのお子さんは、分かりやすく積極的であることも多く合格しやすいと言えますが、子どもの性格もそれぞれですから、目立たないタイプでも粘り強い真面目さがあるならば合格は難しくないでしょう。

内申点を上げる方法


先に述べた通り、公立の中高一貫校の入試では内申点が重要になります。
ここでは、内申点を上げる方法についてご紹介します。

テストで点数を取る

試験で良い点数を取ることで、内申点を上げることができます。
日頃の小テストや定期テストにしっかり向き合い、着実に結果を積み重ねていきましょう。
授業に集中する、課題を提出するといった基礎的なことを真面目に行うことで、テストの点数はおのずと上がるでしょう。
また、公立中高一貫校の適性検査では、各教科のバランスの良い理解と定着を重視するため、科目に偏りなく点数を取ることが重要です。

生活態度で目を付けられない

生活態度や授業態度も内申点をつける際の評価の対象となります。
基本的に出席率を落とさないようにし、友達と仲良く過ごし、授業に積極的に参加しましょう。
授業態度では、授業中の私語や忘れ物、提出物に気をつけましょう。
授業中に挙手して発言したり、授業後に先生に質問に行ったりすれば、積極性を認められるでしょう。
学校生活を大切に過ごし、学校行事や委員会活動、課外活動にも積極的に参加しましょう。

いろんなことにチャレンジする

内申点を上げるには、学業以外のことにも一生懸命に取り組むことが大切です。
委員会活動や課外活動で、リーダーシップを発揮したり、向上心や協調性を身につけることで、その成果は内申点にも関わってくるでしょう。
部活動やボランティア活動といった特別活動も内申点に関わってきますが、配点は低いことが多いため、毎日の学校生活を大切にし、学業以外の活動も積極的に参加することが重要です。

観点別評価で高評価を得るには

観点別評価で高評価を得るには、各項目に応じた行動を意識することが大切です。
「知識・技能」では授業内容を理解し、正確に活用できることが評価されるため、復習や練習問題で知識や技術の定着を図りましょう。
「思考・判断・表現」では、発表やグループ活動で自分の意見を論理的に伝える姿勢が重要です。
「主体的に学習に取り組む態度」では、自主学習や課題への意欲的な取り組み、質問する姿勢などが高評価につながります。
このように日々の授業での積極性が観点別評価向上の鍵になります。

内申点に関するよくある疑問と注意点


内申点が合否に与える影響は学校によって異なり、私立では重視度が低い一方、公立中高一貫校では重要な評価要素となります。内申点が低い場合でも、学力試験で挽回可能ですが、日頃から授業態度や提出物を意識して内申を高めておくことは安心材料となり、当日の試験とのバランスを意識することが合格への近道となります。ここからは、内申点について詳しく解説します。

内申点の影響度は学校によって異なる

私立中学では一般的に当日のテストの成績で合否が判定されることが多く、内申点の影響は少ないといえます。
一方で、公立中高一貫校の入試では適性検査のような形でテストが行われるため、内申点が合否に大きく関わります。
公立中高一貫校への進学を希望する際は、内申点を上げておくことが重要です。
学校によっても、内申点の配点比率は異なり、低い学校では18%程度、高い学校では30%ほどになります。
また、出席日数は私立・公立中学校ともに確認されるので、出席率を落とさないようにしましょう。

内申点がすべてではない

内申点の重要性について述べてきましたが、内申点が低いからといって合格可能性がないという訳ではありません。
内申点の配点比率は高いところでも30%程度であり、入学試験での成績が重視されることは間違いありません。
そのため、試験で高得点を出せば、内申点をカバーし、合格することができる可能性は大いにあります。
ただ、内申点が大きく影響する公立中高一貫校の入試では小学校の範囲に沿った出題がされるため、他の受験生と差をつけて得点するのは比較的難しいといえるでしょう。

内申点は高くて損することはない

受験において、内申点が高くて損することはありません。
公立中高一貫校では、学力テストの結果と内申点との合計で合否を判定されます。
日頃の生活態度や、定期テストの点数を意識して、学校生活を大切に過ごし、内申点を上げることで志望校に一歩近づくでしょう。
入学試験に向けた勉強はもちろんですが、校内テストや授業への意欲、学習以外の面では学校行事への積極的な参加など、普段の学校生活をしっかりと過ごすことが合格に繋がります。

内申書の提出の準備


中学受験をする場合、内申を提出するための調査書、あるいは成績表のコピーの提出が求められます。
成績表のコピーの場合、保護者が用意すれば問題ありませんが、調査書の場合は担任の先生に依頼して用意してもらう必要があります。
また、特に公立中高一貫校の場合は合否判定にその内容が影響することもあり得ますから、不備のない書類を期日までにそろえるためにも気を付けたいポイントをまとめました。

依頼は早めに行っておく必要がある

願書を入手できるのは11月頃からのケースが多いですが、依頼自体は余裕をもって早めに済ませておきましょう。
目安としては夏休み前後から、遅くとも冬休みまでゆとりがあるくらいのタイミングで伝えておくのがよいでしょう。
調査書は中学校によって求められる内容が異なっていたり、作成にあたって下調べや確認が必要であったり、作成後に複数の先生に回して内容チェックをする必要があったりと、通常業務に加えてかなりの負担を先生にかけることになるものです。
さらに他にも中学校を受験する生徒がいる可能性を考えると、複数人分の調査書の作成や時期の重なりで先生の業務が増えることも想像に難くないでしょう。
先生が業務の見通しを立てられるように早めに依頼をしておけば、巡り巡って書類を期日に間に合わせることにも繋がります。
あまりにギリギリの日程で初めて伝えるようなことは無いようにしましょう。
加えて、もし複数の学校で迷っているならば、そのことも伝えておきましょう。
また、調査書を保護者が用意して先生に渡す場合には、複数校の分をまとめておいて、1回のお渡しで済むようにしましょう。
ただし、小学校によっては依頼期間が指定されている場合もあるので、中学受験にあたって小学校からの指定事項が無いか、事前に確認しておくことも大切です。

小学校への事前確認と手続き

小学校に内申書を依頼する際は、学校ごとに手続きやルールが異なるため、早めの確認が重要です。
まず、依頼用紙の有無や提出先を確認し、学校指定のフォーマットがある場合はそれを使用します。
次に、提出時期や締切を把握し、受験校の出願スケジュールに遅れないよう余裕をもって依頼しましょう。
受け取り方法も学校によって異なり、保護者が直接受け取る場合や、学校が送るケースもあります。
また、発行手数料や必要書類(願書写し・依頼書など)を求められることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

担任の先生と話をしておくことが重要

調査書によっては、生徒の性格面や特色などの記載を求められるものもあります。
担任の先生は、学校でのお子さんの様子は見て知っていてくださるかもしれませんが、家での様子や習い事での興味・取り組みやチャレンジについては保護者の方しか知らないこともあるでしょう。
もし受験校に対してアピールしておきたいお子さんの頑張りがあるならば、あらかじめ先生に話し伝えておくと良いでしょう。
それを調査書に反映するかは先生の判断になりますが、先生も知らないことは書けませんから、話しておくことで書いてもらえる可能性を少しでも作っておくことに意味があります。

夏休み前には意思を伝える

中学受験をする場合、それが確定していなくとも、少しでも可能性があるならば6年生の夏休み前までには担任の先生にその旨を伝えておきましょう。
先にも書いた通り、調査書を書くことになれば先生も労力を割かないといけませんし、なるべく早くそれを伝えておけるならば先生もゆとりを持って備えておけるからです。
もし受ける学校がある程度絞れているならば、学校名もあわせて伝えておくと良いでしょう。
先生と上手く連携を取って、中学受験に臨みましょう。

中学受験対策なら個別の会


私立中学校の受験では内申点以上に当日の学力テストの得点が重要になりますが、その出題範囲の特異性から学校の成績が優秀でも受験で点数を取れるとは限らず、特別な対策が必要です。
また、公立中高一貫校の場合でも、学校の勉強についていけない中でも受験するつもりなのであれば、塾など学校外の学習サポートが必要になってきます。
そんな中学受験対策に、「個別の会」はいかがでしょうか。
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入学相談や無料の体験授業も随時行っておりますので、気になる方は是非お問い合わせください。

【Q&A】よくある質問


ここからは中学受験に関してよくある質問について解説します。

Q. 私立中学受験において、小学校の内申点(通知表の成績や活動記録)は合否に影響しますか?

A.私立中学受験では、内申点が合否に直接影響することはほとんどありません。多くの私立中学校では、当日の学力テストや面接が合否を決めます。
ただし、推薦入試や書類選考を伴う入試方式では、極端に欠席が多い、生活態度に問題があるといった場合に面接や評価で確認されることがあります。
つまり、常識的な範囲で学校生活を送っていれば、内申点が不利に働くことはほぼありません。

Q. 内申点を重視する学校と、当日の試験結果を重視する学校の見分け方はありますか?

A.内申点を重視する学校は、公立中高一貫校や推薦入試型の私立中で多く、願書や調査書で評価されます。
一方、当日の学力テスト結果を重視する学校は、一般入試中心の私立中学校が該当します。募集要項や入試要項に「内申書の比重」が書かれているため、必ず確認するようにしましょう。

Q. 調査書(報告書)には具体的にどのような内容が記載され、学校側はどこを評価していますか?

A.調査書には、主要教科の成績や観点別評価、授業態度、提出物、欠席日数、委員会・部活動などの活動記録、担任の所見などが記載されます。学校側は、学力だけでなく、学習意欲や協調性、責任感、主体性などの総合的な学校生活の様子を評価しています。

まとめ


今回は、中学受験における内申点の重要度や、調査書を担任の先生に依頼する際に気を付けたいポイントなどをご紹介してきましたが、いかがでしたか。
私立中学校の場合、学校の成績が良くても受験用にまた別の対策が必要です。
公立中高一貫校の場合でも、もし学校の勉強に不安があるなら学習面のフォローが必要になるでしょう。
日頃から担任の先生と、お子さんの話を共有できる関係性を築きつつ、必要に応じて塾や受験生のコミュニティなど、外部の手段の活用もしていくことをおすすめします。

この記事の執筆者:個別の会代表 谷本秀樹

医進の会代表 谷本秀樹
講師として希学園や浜学園、四谷学院や医学部受験予備校やプロ家庭教師センターなどで中学受験・高校受験・大学受験の集団授業や個別授業で延べ2000人以上の指導に関わり、圧倒的な成績向上と高い志望校の合格率を誇ってきた。
関西No.1の個別の医学部受験予備校『医進の会』の代表でもあり、これまで600人以上の生徒家庭に関わり、豊富な入試情報と卓越した受験指導で数多く志望校合格に導いてきた、関西屈指のカリスマ代表。