歯科医師の難易度は?歯学部の合格率・対策方法・医師との比較について徹底解説

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カテゴリ:テスト・入試

本記事では、歯学部の難易度を徹底解説しています。
難易度が高い大学や入りやすい大学などを紹介しているので、自分の今の実力にあった大学を探すことができます。
今歯学部の難易度で悩んでいる方は必見の内容になっています。

歯科医師の資格取得まで

歯科医師になるには、歯科医師国家試験の合格が必須です。
以下では、歯科医師の資格取得までについて詳しく解説します。

大学受験の必要性

歯科医師国家試験を受験するには受験資格が決められており、独学での受験は認められていません。
高校卒業後に6年間大学の歯学部で学習し、必要なカリキュラム全て修了して卒業するか、卒業見込みとなることで、受験資格を得られます。
そのため、大学受験で歯学部に進学することが必須となっています。
国家試験に合格し、免許を取得した後には、指定された研修施設である病院や歯科医院などで臨床研修を最低1年間受けなければなりません。
そして臨床研修を修了して初めて、歯科医師として就職することが可能となります。
外国の歯科大学または歯科医学校を卒業した方や、外国で歯科医師免許を取得した方も、厚生労働省による個別審査を経て受験資格を認定されれば、受験が可能です。

歯学部入学の難易度

上記のように歯科医師国家資格を取得するには、歯学部に進学することが必須条件となっていますが、歯学部入学の難易度はどれほどのものなのでしょうか?
国公立大学の歯学部は、前期試験ではおおよそ共通テストで60%台後半~70%台後半の得点率が必要だといわれており、後期試験ではさらにボーダーラインが高くなる傾向にあります。
私立大学の歯学部は、都心にある立地がよい大学ほど難易度が高い傾向にあります。
歯学部は求められる偏差値はそこまで高くはないですが、学費の安い大学は人気もあり倍率も高いため、決して簡単に入学できる学部だとはいえないでしょう。

歯科医師国家試験の詳細

次に、歯科医師国家試験の詳細についてです。

試験の合格率と難易度

歯科医師国家試験の合格率は例年約6割を推移しています。
他の医療系の国家試験の合格率は9割程度といわれているため、このことから歯科医師国家試験の合格率は低く、難易度が高いことがわかります。
合格率が低い理由として、出題範囲が拡充したことや、合格基準が上昇したことが挙げられます。
また、歯科医師の数の過剰問題により歯科医師国家試験は近年難化していることも影響していると考えられます。

試験内容、受験料、試験日

歯科医師国家試験は毎年1回、1月下旬~2月上旬の土日に2日間にわたって実施されており、受験料は18,900円となっています。
試験内容は「歯学、歯科臨床学、基礎医学、臨床医学」の分野から幅広く出題されています。
以前は実技試験もありましたが、現在はマークシート方式の試験のみとなっています。
試験は2日間にわたり実施され、必修問題が80問、一般問題が180問、臨床実地問題が100問の合計で360問が出題されますが、試験時間が2日間とも午前と午後に分かれており、各90問の出題となります。

歯科医師の難易度と比較

歯科医師の難易度はどれくらいなのでしょうか。
医師の難易度とも比較しながら解説していきます。

医師と歯科医師の難易度比較

まずは、大学入試の偏差値から比較していきます。

医学部 歯学部
国公立大学 67~77 国公立大学 62~66
私立大学 67~75 私立大学 51~61

医学部と歯学部の偏差値をみてみると、医学部の方が国公立大学も私立大学も高い偏差値が求められていることが分かります。
そのため、大学入試では歯学部よりも医学部の方が難易度は非常に高いといえるでしょう。
次に、国家試験の合格率を見てみましょう。

医師国家試験 歯科医師国家試験
92.4% 66.1%
新卒者95.4%既卒者58.9% 新卒者81.5%既卒者39.8%

国家試験になると医師国家試験に比べ、歯科国家試験の方が合格率が26.3%低くなっており、歯科国家試験の方が合格が難しい試験といえます。
既卒者の合格率も医師国家試験に比べると19.1%低くとても難しい試験だということがわかります。
医師国家試験合格率参照(令和6年)

歯科医師資格の難易度

上記にあるように、歯科国家試験の難易度はとても高いものになります。
難易度が上がっている原因として、歯科医師の役割が単なる治療から予防や総合的な健康管理へと広がっており、それに伴って歯科医師に求められるスキルや知識のレベルが高くなっていることが挙げられます。
また、現在歯科医師の人数は非常に多く、資格取得への競争率が高くなっていることも一因といえるでしょう。

資格取得後の就職難易度

歯科医師の就職難易度は、都市部とそれ以外の地域によって異なりますが、基本的に就職難易度はそれほど高くはありません。
また、マッチングプログラムというものがあり、これは、自身が希望する卒業後一年間研修を受ける病院を決めるための就職試験のようなものとされています。
これによってほとんどの学生が卒業後の進路を決定することができます。

歯科医師の需要とキャリア

ここからは、歯科医師の需要とキャリアについて解説していきます。

若手歯科医師の需要増加

近年、若手医師の需要は増加しています。
その理由として考えられているのが、後継者不足です。
歯科医師の多くは、卒業後まず病院やクリニックで勤務医として働いた後、開業することがほとんどです。
そのため現在の日本では、コンビニの数を上回るほどの数多くの歯科医院が存在しています。
ですが開業しても後継者が見つからず、閉院せざるを得ない病院も多くあります。
こういった理由から若手歯科医師の需要は増加しています。

地域密着型歯科医師の需要

近年、予防医療の重要性が高まっています。
地域密着型の歯科医師は、定期的な検診や予防処置を通して地域の健康増進に寄与します。
また、現在の日本では高齢化が進み、自ら歯医者に行くことのできない高齢者も増加しています。
そういった高齢者の方々に対して、自宅や施設に訪問し歯科検診や治療を行うといった地域社会と連携を取り、地域全体の口腔健康を支える歯科医師のニーズが高まっています。

歯科医師のキャリアアップ

歯科医師の数は非常に多いため、成功するためにはキャリアアップが欠かせません。
キャリアアップの選択肢にはいくつかありますが、3つに分けて解説していきます。
一つ目は、特定の専門分野に特化した専門医の資格を取得し、それに関する技術や知識を提供することです。
専門医の資格を取得するためには、数年にわたる歯科医師としての実務経験や試験が必要であるなど長期間必要です。
二つ目は、大学や研究機関での教育や研究活動に携わることです。
学術的な研究や論文を通して、専門性を高めることができます。
また、大学や専門学校で講師として指導を行い、次世代の歯科医の育成の役割を果たすこともできます。
三つ目は、歯科クリニックや診療所での経営や管理に関わることです。
これは、将来的に開業をするための準備段階であり、医学的な知識だけでなく経営を行う上での知識も学ぶ必要があります。

歯科医院開業と計画

ここまでは、歯科医師の需要とキャリアについて解説をしてきました。
ここからは、実際に歯科医院を開業するにあたっての計画などについて解説していきたいと思います。

開業のための計画

歯科医院開業を現実的に考えていくとなると、開業までのプロセスを考えるための具体的な計画を立て、事業計画書を作成しなければなりません。
事業計画書は、金融機関から融資を受ける際や、開業後の経営指針を考えたりする上で重要な役割を担います。
また医院を開業すること自体がゴールではなく、その後経営していく必要があるため、業計画書により売り上げや初期費用、支出などの見積もりに加え、資金繰り表やスケジュール表を作成する必要があります。

認定医・専門医・指導医の資格

歯科医院を開業する場合には、診療内容や方針に応じて、認定医・専門医・指導医といった資格を取得するとよいでしょう。
単純に歯科医院を開業するとはいっても、どういった特徴を持った歯科医院になるかが、非常に重要となります。
そのため、他の医院との差別化を図るためにも、これらの資格を取得し、より高度な歯科医療を提供することで、患者さんに信頼される医療機関としての地位を築くことができるでしょう。
また、歯科医院を経営するうえでは専門性を持つことが、診療のみでなく人材の確保にも繋がると考えられます。
資格を取得するには、各学会が行っている専門医制度を活用することが一番の近道です。
認定医・専門医の資格を取れる施設は決まっているため、所属を考えている施設で取得できるかどうかを事前に確認しておきましょう。

歯科医師の社会的認識

歯科医師と医師は、同じ「医師」という言葉がつくことで比較されやすく、医学部に行けなかった人が歯学部に行く、というようなイメージを持つ人がいたり、受験生の中には、最高難度の医学部を目指して、すべり止めに歯学部を選ぶ人もいるかもしれません。
しかし歯科医師と医師は、どちらもなくてはならない職業であり、仕事内容も全く違います。
歯学部と医学部は、偏差値などで一括りに比較されるものではなく、どちらが上でどちらが下かというようなものではありません。

歯学部に対する認識のアップデート

歯科医師国家試験は近年難化傾向にあり、ここ数年合格率は60%台前半を推移しています。
この合格率をみると国公立大学または私立大学でも、歯学部に合格したからといって、確実に歯科医師国家試験に合格して歯科医師になれるとはいえない状況だと考えられます。
そのため、よくありがちな、大学生活のんきに過ごしていても何とかなるという考えは今の時代には通用しないという認識のアップデートをしましょう。

歯科医が活躍できる分野

歯科医師は歯科治療に関する専門的な知識や技術力を持っているため、それらを活かした就職が可能です。
歯科医師のほとんどが、病院や診療所といった医療機関で就職します。
その中でも多くを占めるのが歯科医院で、次に病院です。
そのほか、医療機関以外では国や自治体で公務員として働いたり、歯科治療に関する企業に勤める人もいます。
また、介護施設での高齢者の口腔機能管理や、訪問歯科診療医師として働く人もいます。

歯科医師の試験対策

国家試験に合格するためには、出題傾向にそった勉強も必要です。
ここからは、歯科医師の試験対策などについて解説していきたいと思います。

勉強方法

学生の中には、大学と別に国家試験対策の予備校などに通う人もいるかと思います。
また、授業の中で国家試験対策を行う大学もあります。
しかし、こういった大学や予備校の授業以外で勉強を進めるには、多くの学生は過去の問題集ではないでしょうか。
直近数年間に実際に出題された問題を解いていくことで出題の傾向の理解が進んでいきます。
また、最近ではスマートフォンのアプリで国試の過去問を解く学生も多くいます。

国試予備校や問題集の活用

国試予備校は、国家試験対策の勉強に特化しています。
講義形式と個別指導にわかれており、卒業時に落ちた人だけでなく、現役の学生も通うためのコースも設置されています。
また、近くに予備校が無いという方でも通えるようにオンライン授業もあります。
問題集は、出題傾向や形式を知ることができ、自分の苦手分野を理解することにも役に立ちます。

歯科医師の年収と就職

歯科医師は、高い専門性を持つ仕事です。
ここからは、歯科医師の年収と就職について詳しく解説していきたいと思います。

資格取得後の年収・報酬相場

経験、専門性、勤務形態、医院の大きさなどによって異なりますが、常勤の歯科医師の場合は年収が約450~800万円程度になります。
経験を積んだ後、独立開業の場合は1000万円を超える年収の人も中にはいますが、クリニックの立地や経営能力、歯科矯正や保険外診療などといった専門性の高い技術力がないとなかなか難しく、また、地域の需要と供給によっても大きく左右されるといえるでしょう。

歯科医師所持者の職業例

歯科医師所持者の職業例として歯科医師、歯科技工士があげられます。
歯科医師は歯科クリニックで一般的な虫歯の治療、歯のクリーニング、予防措置など一般的な歯科治療を行う「一般歯科医師」、歯列の不正や顎の問題を診断し、矯正治療を行う「矯正歯科医師」、口腔や顔面の外科手術を行う「口腔外科医師」などさまざまな特化分野があります。
歯科技工士は、歯科治療において歯科医師や患者のために補綴物や義歯などを製作する専門家であり、歯科医師が患者に提供する治療の一部を支える重要な役割を果たしています。

歯科医師の現状と将来性

次に歯科医師の現状と将来性について解説していきます。

現状の課題

現在、毎年2000人ほどの人が歯科医師国家試験に合格し、歯科医師資格を取得していますが、現状、歯科医師数・歯科医院数は供給過多になっています。
そのため、国も過剰な歯科医師の養成を抑制するため歯学部の定員削減を行ったり、歯科医師国家試験の難関化を行っています。

将来性と展望

歯科医師は、キャリアの選択肢が豊富なことや安定した収入を得られやすいことから将来性は高いといえます。
その他にも将来性が高いと考えられる理由として、高齢化社会や予防歯科の重要性の増加、技術革新の進展などが、歯科医師の需要と役割をさらに重要なものにしています。
また、地域や特定の分野におけるニーズの変化や医療環境の変化に柔軟に対応することが、歯科医師にとって成功の鍵となるでしょう。

歯科医師国家試験の失敗

ここからは、もし歯科医師国家試験に不合格になってしまった場合の対策について、解説していきます。

不合格の場合の対策

上記でも述べられているように、歯科医師国家試験の難易度は高くなってきており、合格率も65%程度と低くなっています。
それに伴い、不合格になってしまう方も一定数います。
ですが、歯科医師の国家試験のための専門の予備校も存在しており、次年度の国家試験に向けた対策をみっちり行うことができます。
ですので、一度不合格になってしまった場合でも諦めずに次年度に向けて勉強に取り組み、合格を勝ち取りましょう。

難易度が志望に与える影響

歯科医師国家試験は、過剰に増える歯科医師の削減のためや医療の進展による学習範囲の増加により難化傾向にあります。
歯科医師を志望する学生のなかには、歯科医師国家試験が受かりやすく、一度国家試験に合格することが出来れば安定した職に就くことができるという理由から志望している人も少なくありません。
そのため、難易度が上がり合格率が下がったことで歯学部志望をやめてしまう方もいます。
実際、歯学部の難易度が上がり始めてから、大学入試の倍率も低下しているというデータもあります。
このことから、歯学部の難易度は、歯学部への入学志望者数にも影響を与えているといえるでしょう。

まとめ

この記事では、歯科医師の難易度について解説しました。
現在コンビニの数よりも多いとされる歯科医院の過剰に伴い、歯科医師数の削減のため国家試験や歯学部入試の難易度も高くなってしまっていることが分かったのではないでしょうか。
しかし、一度歯科医師の資格を取得することができれば、安定した収入や幅広いキャリア選択を得られるでしょう。
この記事を読んで歯科医師に興味をもたれた方は、歯学部や歯科医師についての記事はほかにも掲載してありますのでそちらもぜひご覧ください。