歯科医師になれる合格率とは?歯科医師国家試験の合格率・難易度・勉強方法を解説
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カテゴリ:基礎知識
歯科医師になるには、歯学部に入学し6年間の歯学部の課程を修了、そして卒業した後に、歯科医師国家試験を受ける必要があります。その後合格してから、決められた臨床実習を1年以上受けてやっと、歯科医師として就職することができます。
歯科医師国家試験については、歯学部生の皆さんはもちろん、歯学部受験生のみなさんも合格率について気になっていると思います。この記事では、国家試験や各大学別に合格率など、勉強法と計画のしかたについて解説します。
歯科医師になるまで
まずは、歯科医師になるまでについて解説していきます。
受験資格
歯科医師国家試験の受験資格を得るためには、まず歯科大学または大学の歯学部で6年間学び卒業していることが基本的な条件となります。歯学部の学位を取得することで、歯科医師としての基礎的な知識や技術を身につけたことが認められます。
他にも外国の大学で歯学部に通い卒業すれば、厚生労働省が個別に審査して、受験資格を満たしていると認定されると、受験資格を得ることができます。
国家試験の概要
歯科医師国家試験は、歯科医療における基本的な知識や技術、臨床能力を持った医師を育成し、一定水準の質の高い歯科医療を提供するための資格試験です。
試験は年に1回行われ、時期は1月下旬〜2月上旬の土日となっています。試験形式は全てマークシート式で行われ、合計360問が出題されます。実技試験はありません。
主な開催場所は東京都や大阪府など、8都道府県の会場です。
歯科医師国家試験の詳細(2024年)
2024年度の歯科医師国家試験の詳細を表にまとめました。
試験日 | 1月27日(土)、1月28日(日) |
---|---|
試験会場 | 北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の8都道府県。会場は専門学校・大学、会議場など各都道府県で複数の会場が設置されます。 |
合格発表 | 3月15日(金)午後2時厚生労働省のホームページに掲載 |
解答発表 | 毎年の4月~5月の中旬に厚生労働省のホームページにて公開 |
受験料 | 18,900円 |
受験手続き | 受験願書・写真・切手を貼った返信用封筒・卒業証明書又は卒業見込み証明書 |
試験科目、出題数、試験時間
問題区分 | 問題数 | 出題内容 |
---|---|---|
必修問題 | 80問 | 医の倫理と歯科医師のプロフェッショナリズム社会と歯科医療チーム医療予防と健康管理・増進人体の正常構造・機能人体の発生・成長・発達・加齢主要な疾患と障害の病因・病態主要な症候診察の基本検査・臨床判断の基本初期救急治療の基礎・基本手技一般教養的事項 |
一般問題 | 180問 | 領域A(総論)保健・医療と健康増進正常構造と機能、発生、成長、発達、加齢病因、病態主要症候診察検査治療歯科材料と歯科医療機器 |
臨床実地問題 | 100問 | 領域B(各論)成長・発育に関連した疾患・病態歯・歯髄・歯周組織の疾患 顎・口腔領域の疾患歯質・歯・顎顔面欠損と機能障害高齢者等に関連した疾患・病態・予防ならびに歯科診療 |
合計 | 360問 |
試験時間は、9:45〜12:00と13:45〜16:00の午前と午後に分かれており、2時間15分ずつを2日合わせて9時間かけて行います。
試験委員
歯科医師国家試験の試験委員は、試験を実施するための責任者や審査を行う専門家で構成されています。2024年度は、委員長1名、副委員長1名、委員68名で構成されていました。
試験委員には学術的な視点と実務的な経験が求められており、試験の質を高めるために専門知識と能力が重要となります。試験委員の役割は、医療資格を持つ者としての責任感と信頼性を確保し、医療従事者としての能力を客観的に評価することにあります。
歯科医師国家試験の合格率と難易度
歯科医師国家試験の合格率と難易度について解説していきます。
合格基準
問題区分 | 問題数 | 配点 | 合格基準 |
---|---|---|---|
必修問題 | 80問 | 1問1点 | 80%以上の正答 |
一般問題 | 180問 | 1問1点 | 領域A(総論)、領域B(各論)で、それぞれの平均点と標準偏差を用いて基準を決める。 |
臨床実地問題 | 100問 | 1問3点 | 〃 |
合計 | 360問 | 560点満点 | ー |
毎年、一般問題と臨床実地問題の合格基準点は変動し、必修問題は80%以上が合格基準となっています。
合格者数と合格率
一般的に、歯科医師国家試験は難易度が高いため、合格率は比較的低い傾向があります。
例年、歯科医師国家試験の合格率は61〜66%台で推移しており、2024年では、新卒者の合格率は76〜80%と高い合格率でしたが、既卒者は35%〜47%程度と新卒者の合格率をはるかに下回る結果となりました。
合格率推移
歯科医師国家試験の合格率は2013年までは、70%を切ることはほとんどなく、合格率が90%を超える年もありました。しかし過去10年のデータをみてみると60~65%あたりにとどまっており、決して高い合格率とはいえません。合格率が低下した理由はいくつかありますがそのひとつは、歯科医師の数が非常に多くなってしまったことです。そのため、国は需要と供給のバランスが崩れてしまうことを防ぐため、国家試験の基準を厳しくするようになりました。
受験者数の推移
毎年医師国家試験の受験者数は3,000人以上になります。今年、2024年の第117回医師国家試験の受験者は3,117人でした。昨年に比べると40人少なかったようですが、毎年受ける受験者数の数にあまり変化はありません。試験内容の難化に伴い15年ほど前に比べると既卒者の受験者数が増えている傾向になります。
歯科医師国家試験の対策・勉強方法
歯科医師国家試験の対策や勉強方法について詳しく解説していきます。
国試予備校の利用
国試予備校とは国試だけに特化した対策・指導を受けられる予備校のことをいいます。予備校はどうすれば合格できるのかなど傾向と対策を熟知していたり、学習計画を管理してくれるため、無駄なく勉強を進めることが可能です。授業形式も予備校によって様々で、講義形式や個別指導形式、またオンライン授業を行っている予備校もあるため、自宅で授業を受けることもできます。
独学だと勉強の悩みや相談をする相手がいないため、国家試験合格に対するモチベーションの維持が難しかったりしますが、予備校を利用すると講師に直接相談ができるなど適切なアドバイスをその都度してくれるため、心配することなく試験のための勉強に集中できるでしょう。
国試問題集の活用
国試問題集を活用することは、歯科医師国家試験を受けるにあたって非常に重要です。これまでの出題傾向や形式を把握することに役立つほか、自分の苦手分野を確認することもできます。問題集を解く際は、やみくもに解くのではなく間違えた問題の解説までしっかり読み理解することが大切です。
問題集の種類も様々で、実施回別に編集されているものであったり、出題分野別になっているものなどがありますので、自分自身に合った参考書を選びましょう。そして、これと決めた一冊は完璧になるくらいまで繰り返し解きましょう。
国試過去問アプリの活用
短い時間で効率よく国試過去問を勉強できるため、最近はスマートフォンのアプリで国試の過去問を解く学生も多くいます。移動時間や授業と授業の間の休憩時間など、ちょっとしたスキマ時間に勉強できて、参考書のようにかさばらず重くもないメリットがあります。アプリには間違えた問題だけをしぼり込めたり、全国の他の学生の正答率が分かったりと、便利で役立つ機能が数多く備わっています。また、アプリ内では、実際の試験と同じ形式で問題が組まれた模擬試験を受けることができる場合があります。これによって試験当日の臨場感を体験し、実力を確認することができるでしょう。
しかし、アプリは暗記ゲーになりやすいため、教科書や参考書と併用して活用するのがおすすめといえるでしょう。
合格率が高い歯科大学
合格率が高い東京歯科大学についてご紹介いたします。
合格率1位「東京歯科大学」の特徴
東京歯科大学では、口の中だけに留まらず全身との関係で歯科医療をとらえることを目指し、教養科目、基礎・臨床の専門科目が連携をとった多面的・統合的な授業を行っています。また、知識・技術だけでなく、よき医療人として態度を身につけるコミュニケーション教育に力を入れています。学習面においても、マルチメディア教室や最新鋭の実習室などの充実した設備を整え、また、無線LANや教育用WEBなどのIT環境を整備し、学生の自学自習にも活用されています。これらの教育システムや学年主任制による親身な指導で、東京歯科大学の歯科医師国家試験の合格率は例年90%以上を維持しており、合格率は全国で1位を誇っています。
国家試験合格に向けて
次に、国家試験合格に向けての戦略や高合格率大学の選び方について解説します。
国家試験合格への総合的な戦略
まずは、国家試験合格への総合的な戦略について大切なポイントを2つご紹介します。
スケジュールを立てて計画的に学習する
1つ目は、まずスケジュールをしっかりと立てて計画的に勉強を進めましょう。国家試験を受ける方の中には、学生のほかに社会人も多くいることでしょう。学生はほかの勉強と、社会人は仕事と両立させながら勉強を進める必要があります。そのため、試験日から逆算して学習スケジュールをしっかりと立てて、計画的に勉強を進めることが大切です。具体的に「いつまでに覚えればいいか」や「いつまでにどの範囲を終わらせるか」などの目標を明確にしておくとよいでしょう。
過去問を解いて試験に慣れる
2つ目はスケジュールを立てたら、実際に過去問を解いて試験問題に慣れていきましょう。その際、自分の苦手分野や時間配分なども把握しておきましょう。また、インプットとアウトプットもバランスよく行いながら、知識を少しずつ定着させていくことも大切な勉強法です。また、試験直前には模擬試験を実施し、実際の試験と同じ条件で自分の実力を確認し、模擬試験の結果を分析して、最終調整を行いましょう。
高合格率大学の選び方
確実に国家試験合格を目指すなら、高い合格率を誇る大学に進学したいと思われる方も多いでしょう。歯科医師国家試験の合格率は平均で70~80%程度といわれており、大学によってやや差があります。 高合格率大学の選び方として、大学側が示している国家試験合格率に、留年して受験している学生が数値に含まれていないかを確認しておきましょう。大学側としては合格率が低いと学生が集まらないなどデメリットがあります。そのため、合格率を高くみせようとしているケースもありますので、注意して見るとよいでしょう。
また、大学がどれだけ国家試験対策を充実させているかも重要となります。国家試験に向けたカリキュラムや指導体制が整っており、学生が効果的に準備できるような環境が整備されているかを確認するとよいでしょう。
まとめ
今回は歯科医師になるための流れや方法、勉強方法などをご紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
歯科医師国家試験は近年難化傾向にあり、合格率も低下しています。歯科医師を目指している方にとって、国家試験合格は必ず通らなければならない道です。国家試験合格に向けて不安や悩みがある方は、今回解説した国試予備校を利用を検討してみたり、国試過去問アプリの活用をしてみるなど自分に合った学習スタイルで合格を目指すとよいでしょう。