【2024年度】歯学部の国家試験の合格率や難易度は?受験の概要や受験者数についても解説

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カテゴリ:テスト・入試

歯科医師を目指すにあたって、歯科医師国家試験の受験は必須となります。
受験生の中には、この歯科医師国家試験はどれくらいの難易度なのか、試験の詳細が知りたいという方もいるでしょう。
本記事では歯学部の国家試験の合格率や難易度、受験者数の推移について解説しています。
記事内では歯学部試験の概要や、受験日程、合格発表についても解説しているため、各学校の受験日程などが気になる方は是非参考にしてください。

歯科医師になるには?


歯科医師になるためには、歯学部を卒業後国家試験に合格する必要があります。
ここでは、歯科医師国家試験について解説していきます。

歯科医師国家試験とは?

歯科医師国家試験とは、歯科医師としての資格を取得するために必要な試験のことです。
歯科医師になるには、歯科医師国家試験を受験し合格しなければなりません。
試験に合格し免許取得後、指定の病院や歯科医院などの研修施設での臨床研修を1年以上受け、臨床研修を終えた後にようやく歯科医師として働くことができます。
また、歯科医師は医師とは異なる医療系の国家資格です。

歯科医師国家試験の受験資格

歯科医師国家試験には受験資格があるので、独学で勉強しても受験することができません。
高校を卒業して、6年間歯学部で必要なカリキュラムを全て修得し卒業(または卒業見込み)することによって、やっと受験資格が得られるのです。
また、外国の歯科大学・歯科医学校を卒業した場合や外国で歯科医師免許を取得した方も、厚生労働省によって審査を個別に行い、受験資格を満たしていれば、受験資格を得ることができます。

歯科医師国家試験の合格率や難易度は?


歯科医師国家試験の合格率や難易度について、詳しく説明していきたいと思います。

合格率は?

歯科医師国家試験の合格率は毎年61〜66%で推移しています。
医師国家試験は毎年90%以上の合格率となっているのに比べると、低い水準となっています。
難易度が高めになっている理由として、歯科医師数が余剰傾向であるということが影響しているのではないかと言われています。
2024年度の受験者は3,117人、合格者は2,060人、合格率は66.1%でした。
この内訳として、新卒者の合格率は76〜80%と高い水準になっていています。
既卒者の合格率は35〜47%程度で、新卒者の合格率を大きく下回っているのが分かります。
大学別でも国公立また、合格基準としては、必修問題が毎年80%以上です。
臨床実施と一般問題は年度によって変動します。
歯科医師国家試験には領域に分かれて出題されますが、その領域の合格基準の差が年々小さくなっている傾向があります。
これによって満遍なく理解しているということが必要になってきます。

受験者数の推移

歯科医師国家試験の受験者数は、毎年3,000人以上が受験しているといわれています。
ちなみに、2024年の第117回歯科医師国家試験では3,117人が受験しており、前年度よりも40人減少しました。
10年前と比較すると、受験者は7.5%の減少となっています。
若干の減少傾向ですが、年度によってばらつきがあります。
ただ、受験者数が増減していても、合格率は減少傾向と言えます。
2024年度は新卒者は1,962人受験して1600人、既卒者は1,155人受験して460人が合格しました。
歯科医師という職業は、歯に関する健康を守っていくことのできる専門性を持っています。
一方で人口減少でありながらも、高齢者が増えて、医院自体も激化しています。
そのため、人気な職業であることには変わりないため、受験者数はこれからも大幅に減少することはないのですが、さらに合格率は低くなると予想されます。

歯科医師国家試験の概要


ここからは、2024年1月に実施された第117回歯科医師国家試験の概要について説明します。

試験日や試験会場は?

試験は1月27日と28日に行われ、土曜日と日曜日の2日にわたって開催されるため、既卒生でも日程的に受けやすくなっています。
試験会場は東京都、大阪府、北海道、宮城県、新潟県、愛知県、広島県、福岡県の8都道府県で実施されます。
全国で行っているわけではないので、よく場所を調べておく必要があります。

合格発表日や解答発表日は?

合格発表は3月15日の午後2時から厚生労働省のホームページにて、合格者の受験地と受験番号が掲載されました。
解答発表は例年4~5月の中旬に厚生労働省がホームページで公開しています。

【2024年度】各大学の受験情報

歯科医師国家試験の大学別合格状況について表にまとめました。

国立大学

大学名 受験者数 合格者数 合格率
北海道大学 70 55 78.6
東北大学 73 53 72.6
東京医科歯科大学 64 54 84.4
新潟大学 44 36 81.4
大阪大学 64 54 84.4
岡山大学 68 56 82.4
広島大学 69 54 78.3
徳島大学 62 46 74.2
九州大学 69 45 65.2
長崎大学 64 53 82.8
鹿児島大学 69 58 84.1

公立大学

大学名 受験者数 合格者数 合格率
九州歯科大学 117 86 73.5

私立大学

大学名 受験者数 合格者数 合格率
北海道医療大学 71 44 62.0
岩手医科大学 72 41 56.9
奥羽大学 132 58 43.9
明海大学 140 80 57.1
日本大学(松戸歯学部) 205 120 58.5
昭和大学 118 104 88.1
東京歯科大学 131 128 97.7
日本大学(歯学部) 166 95 57.2
日本歯科大学(生命歯学部) 126 92 73.0
神奈川歯科大 125 87 69.6
鶴見大 101 57 56.4
日本歯科大(新潟生命歯学部) 68 50 73.5
松本歯科大学 74 52 70.3
朝日大学 180 84 46.7
愛知学院大学 191 114 59.7
大阪歯科大学 184 117 63.6
福岡歯科大学 187 85 45.5

国立大学や公立大学は70%以上の合格率となっています。
しかし、私立大学は大学受験の難易度も幅広いため、合格率としては40-75%と幅広い合格率となっています。
合格率が高い学校はそれだけ歯科医師国家試験の対策がうまく行われていると考えられるため、受験を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

受験料や受験手続きは?

歯科医師国家試験の受験料は18,900円です。
受験手続きをする際には、受験願書、写真(6か月以内に撮影したもの)、切手を貼った返信用封筒、卒業証明書又は卒業見込証明書などが必要になります。
出願期間は、前年度は2023年11月1日(水)から11月30日(木)となっていました。
書類を郵送する際の提出先は、歯科医師国家試験運営本部事務所です。

試験科目や出題数・試験時間は?

歯科医師国家試験の試験科目や出題数・試験時間についてまとめました。

問題区分 出題数 試験科目
必修問題 80問 医の倫理と歯科医師のプロフェッショナリズム社会と歯科医療チーム医療予防と健康管理・増進人体の正常構造・機能人体の発生・成長・発達・加齢主要な疾患と障害の病因・病態主要な症候診察の基本検査・臨床判断の基本初期救急治療の基礎・基本手技一般教養的事項
一般問題 180問 領域A(総論)保健・医療と健康増進正常構造と機能、発生、成長、発達、加齢病因、病態主要症候診察検査治療歯科材料と歯科医療機器
領域B(各論)成長・発育に関連した疾患・病態歯・歯髄・歯周組織の疾患
顎・口腔領域の疾患歯質・歯・顎顔面欠損と機能障害高齢者等に関連した疾患・病態・予防ならびに歯科診療
臨床実地問題 100問
合計 360問

試験は2日間とも午前(9:45~12:00)・午後(13:45~16:00)に分けられ、それぞれ135分ずつあり、合わせて9時間かけて行われます。
試験内容は幅広く出題され、試験形式はマークシート方式で合計出題数は360問となっています。
歯科医師国家試験の合格基準は、必修問題の配点は1問1点で80%以上の正答率が必要となります。
一般問題の配点は1問1点、臨床実地問題の配点は1問3点で、領域A(総論)と領域B(各論)で、それぞれの平均点と標準偏差を用いて基準を決めるため、毎年合格基準点が異なってきます。
2024年1月に実施された試験のそれぞれの合格基準は、必修問題が80点満点中64点以上、領域Aが94点満点中60点以上、領域Bが379点満点中254点以上となりました。

まとめ


この記事では歯科医師国家試験の合格率や難易度、受験者数の推移について解説しました。
歯科医師国家試験の難易度は一般に高いとされており、受験者は高度な専門知識と臨床経験が求められるため、準備にはかなりの時間と努力が必要です。
しかし、国家試験はあくまで通過点であり、歯科医師としての出発地点です。
道のりは険しいですが、歯科医師としてこれから活躍するために、高い志を持って歯科医師国家試験合格に向けて頑張っていきましょう。