歯科医師になるための費用・歯学部の学費・授業料は?国公立・私立に分けてそれぞれ解説
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カテゴリ:料金・費用
歯科医師になるにはどれくらいの費用が掛かるかご存じでしょうか。
歯学部は医学部と同じく6年制です。
私立大学、国公立大学でも学費は大きく異なるため、歯科医師になるための費用について徹底解説しています。
学費だけではなく、学費以外にかかる費用など内訳も紹介しています。
歯学部での学費については大学ごとに紹介しているので、大学選びで悩んでいる方はぜひ一度読んでみてください。
大学・歯科大学の種類
まずは、国公立大学と私立大学の違いをまとめてみました。
国公立大学
国立大学は文部科学省によって標準額が決められています。
そのため基本的には大学や学部によっての違いはありません。
ほとんどの大学が入学金282,000円、授業料は年間535,800円、6年間でおよそ350万円となります。
公立大学の学費は国立大学に準じていますが、一部の大学では設備費用などが必要となるため、大学ごとに差があります。
中には大学がある地域に住んでいたり、出身高校がある場合は入学金が安く設定されており、国立大学よりも学費が安くなる場合があります。
国立大学、公立大学共に助成金から充当されているため、私立大学よりも学費を抑えることができます。
私立大学
次に私立大学の学費です。
私立大学は、国公立大学とは違い標準額は設けられていません。
令和5年度の初年度納入額の平均は535万円でした。
学校により2,000万円近く違うこともあるため私立大学は学校によって大きな差があります。
あくまでも目安であることを念頭に置き、学校ごとに学費を調べるようにしましょう。
大学への入学
続いて、大学入試についてまとめてみました。
入学試験
入学試験は各大学ごとに試験内容が決定され作成されています。
国公立大学の一般入試では、大学入学共通テストと大学ごとで実施される個別試験の2つが課せられます。
国公立大学の入試科目は、共通テストでの国語、数学、理科、社会、英語の5教科が基本的に必須であり、個別試験では、英語、数学、理科の学科試験と、小論文や面接が試験科目としてよく見られます。
後期試験では、個別試験より共通テストの配点比率が高く、科目数が少ないため、個別試験での挽回を目指すのは難しいかもしれません。
一般入試以外の、AO入試や学校推薦型入試といった選抜方法を採用している大学もあります。
私立大学では、国公立大学と比較して受験方式が多様であり、また複数の試験方式で受験できる場合があります。
選抜方式は、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜、大学入学共通テスト利用選抜などがあります。
一般選抜での学科試験では、英語、数学、理科が入試科目となることが多いでしょう。
また、私立大学歯学部入試ではほとんどの入試形式で面接試験を課しています。
偏差値
歯学部の偏差値は、国公立大学で55〜63程度、私立大学では上位校が50〜60程度で下位校が39〜49程度となっています。
前期後期日程や、入試方式によっても偏差値は上下しますので、志望する大学の入試方式ごとの大体の偏差値は事前に把握しておきましょう。
医学部の学費
次に医学部の学費についてまとめました。
国公立大学の学費
医学部は6年制のため、学費は高額になります。
国立大学では、学費の標準額が文部科学省により定められており、一部の大学を除き、全ての学部で入学金が28万2000円、授業料が53万5800円です。
6年間の総額は、約350万円です。
九州歯科大学は、日本で唯一歯学部がある公立大学です。
公立大学は、基本的に国立大学の学費に準じて学費が定められていますが、大学所在地に在住している学生かどうかによって学費が異なります。
九州歯科大学では、大学が所在している福岡県内者は入学料が28万2000円で、県外者は52万円となっています。
参照:文部科学省
私立大学の学費
私立大学の学費は、国公立大学の学費と比較してかなり高額になっています。
また、大学ごとによっても学費に大きく差があります。
最も学費が低い明海大学と朝日大学は6年間で1793万円で、最も学費が高い東京歯科大学は3190万円となっています。
私立大学歯学部の6年間の平均学費は約2900万円です。
私立大学歯学部では、偏差値が高く人気が高い大学ほど学費も高い傾向にあります。
学費以外の費用
学費以外の費用としては、国家試験対策の費用や医学書を含む教科書や参考書代、実習器具代、学外実習施設への交通費、共用試験の受験費用などが別途かかります。
学費以外の費用は、大学が公開している募集要項や受験者向けサイトで詳しい情報が掲載されている場合があります。
情報が載っていない場合でも、オープンキャンパスでの質問・相談会などから情報収集できる可能性があります。
学校のカリキュラム・時間割
学校のカリキュラムや時間割はどのようになっているのでしょうか。
ここでは、カリキュラムと6年間の流れについて解説します。
カリキュラム
歯学部のカリキュラムは、文部科学省による歯学教育モデル・コア・カリキュラムを踏まえた教育内容が全学修時間数の約6割、各大学ごとのアドミッションポリシーなどを基に作成される教育内容が約4割で構成されます。
5年次、6年次では実際の診療現場で実践的に学ぶ
診療参加型臨床実習が実施されます。
また、診療参加型臨床実習の前後には、医療系大学間共用試験実施評価機構による共用試験が二回実施されます。
6年間の流れ
ここでは、6年間の流れを説明します。
1年次では一般教養を軸に学びます。
授業では歯科医師として求められる倫理観を学ぶ医療倫理など基礎的な知識を身につける学習が多いです。
2年次では教養科目に加えて、歯科の基礎や人体構造といった医学の基礎を学ぶ科目が多くなります。
3年次ではより専門的な授業になり、歯科治療の知識や技術を学びます。
4年次は歯科の専門知識と技術を深め、臨床実習開始前に臨床実習での医療行為を許可してよいかを判定するための共用試験を受験します。
この共用試験に合格しないと、5年次からの診療参加型臨床実習への参加は認められません。
5年次、6年次は病院での臨床実習になります。
6年次には、実習を通して多様な症例を学び歯科医としての知識を深め、卒業試験や歯科医師国家試験に備えます。
全国の歯科大学
歯学部は全国29か所あります。
しかしながら、18の都道府県にしか歯学部のある総合大学・歯科大学はありません。
それでは、全国にある歯学部のある大学について見ていきましょう。
北海道
北海道には国立大学が1校、私立大学が1校あります。
北海道 | 国立 | 北海道大学 | |
私立 | 北海道医療大学 |
東北
東北には、岩手県、福島県に私立大学が2校、宮城県に国立大学が1校、計3校あります。
岩手県 | 私立 | 岩手医科大学 | |
宮城県 | 国立 | 東北大学 | |
福島県 | 私立 | 奥羽大学 |
関東
関東には、千葉県、東京都、神奈川県に私立大学が8校、東京都に国立大学が1校あります。
歯科大学の中でも、東京都が全国で最も多い大学数になっています。
東京都にある国立大学の東京医科歯科大学は、歯学部のある大学の中でもトップクラスの偏差値です。
また、前述した最も学費の高い東京歯科大学も東京都にあります。
反対に最も学費の安い明海大学も千葉県にあります。
千葉県 | 私立 | 明海大学 | |
私立 | 日本大学 松戸歯学部 | ||
東京都 | 国立 | 東京医科歯科大学 | |
私立 | 昭和大学 | ||
私立 | 東京歯科大学 | ||
私立 | 日本大学 | ||
私立 | 日本歯科大学 | ||
神奈川県 | 私立 | 神奈川歯科大学 | |
私立 | 鶴見大学 |
中部
中部には私立大学が新潟県、長野県、岐阜県、愛知県に1校ずつあります。
さらに、新潟県に1校国立大学があります。
前述した、最も学費の安い大学である朝日大学は、岐阜県にあります。
新潟県 | 国立 | 新潟大学 | |
私立 | 日本歯科大学 新潟生命学部 | ||
長野県 | 私立 | 松本歯科大学 | |
岐阜県 | 私立 | 朝日大学 | |
愛知県 | 私立 | 愛知学院大学 |
近畿
近畿には、大阪府に私立大学、国立大学共に1校ずつあります。
大阪府以外の近畿にある都道府県には歯学部がありません。
大阪府 | 国立 | 大阪大学 | |
私立 | 大阪歯科大学 |
中国・四国
中国・四国には、岡山県、広島県、徳島県に1校ずつ国立大学があります。
岡山県 | 国立 | 岡山大学 | |
広島県 | 国立 | 広島大学 | |
徳島県 | 国立 | 徳島大学 |
九州・沖縄
九州・沖縄には、福岡県に私立大学が1校、同じく福岡県に公立大学が1校、福岡県、長崎県、鹿児島県に1校ずつ国立大学があります。
福岡県 | 国立 | 九州大学 | |
公立 | 九州歯科大学 | ||
私立 | 福岡歯科大学 | ||
私立 | 福岡大学 | ||
長崎県 | 国立 | 長崎大学 | |
鹿児島県 | 国立 | 鹿児島大学 |
学費の詳細
次に学費について、詳しく見ていきましょう。
医・歯学系学部の学費
歯学部の学費は、国公立大学か、私立大学かでかなり異なります。
国公立大学なら6年間でおよそ350万円、私立大学なら6年間でおよそ1,900万円~3,200万円とかなり幅があることが分かります。
また、2年生から6年生までの学費よりも、初年度である1年生の時の学費が最も費用がかかります。
教材費や実習費が学費とはまた別で支払わなければならない大学もあります。
学費ランキング
私立大学歯学部と国公立大学歯学部の学費をランキング化しました。
私立歯学部の学費ランキング
私立大学歯学部の6年間でかかる学費を低い順でランキングしました。
ランキングは以下の通りです。
順位 | 大学名 | 所在地 | 6年間学費 |
---|---|---|---|
1 | 朝日大学 | 岐阜県瑞穂市 | 19,181,000円 |
2 | 明海大学 | 埼玉県坂戸市 | 19,312,000円 |
3 | 奥羽大学 | 福島県郡山市 | 23,749,895円 |
4 | 北海道医療大学 | 北海道石狩郡当別町 | 24,600,000円 |
5 | 大阪歯科大学 | 大阪府大阪市中央区 | 25,900,000円 |
6 | 昭和大学 | 東京都品川区 | 27,000,000円 |
7 | 神奈川歯科大学 | 神奈川県横須賀市 | 27,000,000円 |
8 | 松本歯科大学 | 長野県塩尻市 | 27,360,000円 |
9 | 岩手医科大学 | 岩手県盛岡市 | 27,600,000円 |
10 | 鶴見大学 | 神奈川県横浜市鶴見区 | 28,077,200円 |
11 | 福岡歯科大学 | 福岡県福岡市早良区 | 28,678,136円 |
12 | 日本大学松戸歯学部 | 千葉県松戸市 | 29,400,000円 |
13 | 日本歯科大学新潟生命歯学部 | 新潟県新潟市中央区 | 31,530,000円 |
14 | 日本歯科大学 | 東京都千代田区 | 31,530,000円 |
15 | 日本大学歯学部 | 東京都千代田区 | 31,940,000円 |
16 | 東京歯科大学 | 東京都千代田区 | 32,142,000円 |
17 | 愛知学院大学 | 愛知県名古屋市千種区 | 33,541,000円 |
歯学部の中で一番学費の安い大学と、一番学費の高い大学を比べると、6年間で1,400万円以上もの違いがあります。
国立歯学部の学費ランキング
国立大学歯学部は、文部科学省による標準額をもとに入学金や授業料が設定されているため、一律の学費となっています。
初年度納入金は817,800円、6年間の学費総額は3,496,800円です。
大学名 | 所在地 |
---|---|
北海道大学 | 北海道札幌市北区 |
東北大学 | 宮城県仙台市青葉区 |
東京歯科大学 | 東京都文京区 |
新潟大学 | 新潟県新潟市中央区 |
大阪大学 | 大阪府吹田市 |
岡山大学 | 岡山県岡山市北区 |
広島大学 | 広島県広島市南区 |
徳島大学 | 徳島県徳島市 |
九州大学 | 福岡県福岡市東区 |
長崎大学 | 長崎県長崎市 |
鹿児島大学 | 鹿児島県鹿児島市 |
歯学部のある公立大学は、九州歯科大学のみです。
公立大学は県内者と県外者で学費が異なります。
県外の在住者は学費が高めに設定されています。
大学名 | 所在地 | 居住地 | 6年間学費 |
---|---|---|---|
九州歯科大学 | 福岡県北九州市小倉北区 | 県内 | 3,496,800円 |
県外 | 3,734,800円 |
奨学金の利用
歯学部の学費は、国公立大学でも6年間で約350万円、私立大学になると約2,000・3,000万円と高額になるため、学費の問題は志望校を決める際にも大きな問題のひとつとなります。
ですが、多くの大学で奨学金制度が設けられており、他にもさまざまな経済的支援がありますので、それについて解説します。
奨学金の種類
まず、奨学金の種類についてです。
多くの大学で奨学金制度を設けており、一般的なものは日本学生支援機構の奨学金制度です。
その他にも各都道府県や自治体が行っている奨学金や大学独自の奨学金や一般企業の奨学財団の奨学金などがあります。
また、優秀な学生には特待生制度を設けている大学も多くあります。
奨学金には給付型と貸与型などがあり、返済不要のものもあります。
学費の問題で受験を諦めるのではなく、こういった奨学金についても早めの段階で情報を集めておきましょう。
資金不足時の対策
学費の資金不足の対策は、奨学金の他にも色々あります。
たとえば、通っている大学に延納、分納、減額の相談をすることができます。
他には金融機関が提供している教育・学資ローンなどを活用するのも良いでしょう。
まとめ
この記事では、歯科医師になるための費用について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
私立大学と国公立大学の学費の差や学費以外にかかる費用や奨学金についても解説しました。
これらについて把握することができれば、資金調達の計画や入学後もし資金が不足しても対策を練ることができると思います。
この記事から分かったことが役に立ち、お子様の努力が報われ、歯科医師国家試験に合格されることを心よりお祈り申し上げます。