歯科医師から医学部編入は可能なのか?編入方法や難易度などをご紹介

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カテゴリ:テスト・入試

歯科医師として働きながら、医学部への編入を考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、歯科医師から医学部に編入するときの流れや、編入の難易度などをご紹介します。
また、編入できる大学とできない大学の違いなどの詳細や編入する方法なども紹介しています。
今、医学部への編入を苦慮している方には、必見の記事となっているので、ぜひ最後までご一読ください。

編入学試験の重要ポイント

まず医学部への編入学試験において重要なポイントを解説していきます。

試験制度の比較

現在、編入学試験が実施されている医学部は、国公立大学が27校、私立大学が2校の計29校となります。
どの大学も定員数が少なく、例年倍率は高くなる傾向があるため、一般入試よりも狭き門となることでしょう。
しかし、一般入試と異なり、編入学試験は試験日が大学によって違うため日程がかぶらない限り何校でも併願が可能です。
そのため、受験校の数でカバーすることができるといえます。
編入学試験の試験科目はどの大学もほぼ固定されており、科目数も少ないですが、面接や小論文の結果が特に重要視されていたり、大学入学共通テストの受験が不要であることも他の試験制度と違った特徴です。

歯学部出身者の有利な点

歯学部出身者が医学部への編入学試験を受けるにあたって有利な点の一つに、すでに授業や臨床で今まで習った知識を活かせるということがあげられます。
これは試験のみでなく、入学後の進級にも関わるため、この点が他学部出身者にはない有利な点だといえます。

次に、歯学部から医学部への転部制度について詳しく解説していきます。

私立医学部の転部制度

転部制度は全ての医学部が実施しているわけではありません。
現状、ほとんどの大学では認められておらず、唯一私立医学部で歯学部からの転部制度を設けているのは岩手医科大学医学部のみです。
岩手医科大学では、歯学部から医学部への転部は2年に進級するタイミングに行われ、3名以下の転部者が認められています。
転部の試験内容は書類審査・学科試験・面接・小論文が課せられます。
歯学部の科目だけでなく医学部の1年次で学ぶ科目からも出題されるため、歯学部の勉強と同時進行で医学部の科目を勉強をしておく必要があります。
毎年、医学部への転部を希望する岩手医科大学歯学部の1年生は多いため、ハードルは高いといえるでしょう。

歯学部及び歯科医師から医学部へのルート

歯学部や歯科医師から医学部へ編入をするには、歯学部(歯科大学)在学中に医学部一般編入学試験あるいは歯学部(歯科大学)を卒業してから医学部学士編入学試験を受けて編入するのが有利となります。
一般入試制度は受験機会は年一度であり、基礎医学の知識等これまでの経歴は全く考慮されません。

一方、医学部編入試験制度では一般編入を利用する場合、大学2年次以降は回数制限なく受験可能であり、主に生命科学系基礎で勝負できるので歯学部出身者は有利です。
これまでの経歴を評価する試験制度であるため、基礎医学をすでに学び臨床実習経験もある歯学部生や歯科医師は一般入試とは比較できないほど高い可能性を秘めています。
医学部編入試験は一般入試とは全く違う性質の試験制度ですので、しっかりと対策を立てることで医学部への編入も可能となるでしょう。

入試制度の詳細

続いて、医学部編入学試験制度についての詳細をまとめました。

一般入試、推薦、AO制度の比較

一般入試・推薦・AO制度とどのような違いがあるのか見てみましょう。

まず、一般入試・推薦・AO制度は、以下のような性質を持っています。

・受験機会は年に一度である
・国立は多く併願できない
・大学共通テストと二次試験と対策が必要
・基礎医学の知識は全く使えない
・経歴は全く考慮されない
次に、医学部編入学試験制度は、以下のような性質を持っています。

・大学2年次以降は何度でも受験できる
・国立でも何校でも併願できる
・大学共通テスト受験は不要
・出題範囲の変化はほとんどない
・筆記試験が合格点であれば人物評価を重んじる
・生命科学を中心に勝負できるため歯学部出身者は有利である
このように、医学部編入学試験制度は一般入試・推薦・AO制度とは全く異なった試験制度となっております。

受験機会と競争相手

受験機会と競争相手を見ていきましょう。
一般入試と違い年に1回ではないので、一般編入利用の場合、何度も受験することが可能です。
また、国公立大学もいくつかの大学を併願して受験することができます。
共通テストを受ける必要はありませんが、募集人数が少ないため自然と倍率が高くなります。
そのため、高得点をとることが重要になってきます。
競争相手は歯学部から医学部を受ける受験生かもしれません。
歯学部から医学部編入は、歯学部ではない他学部よりも優位に働くことが多いです。

国公立と私立の試験制度

それでは次に国公立大学と私立大学の試験制度について見ていきたいと思います。

国公立大学の受験制限

一般入試の際、国公立大学は最大3校まで出願することができますが、医学部編入の際はそのような限りではありません。
最大3校までという縛りはなくなりますが、1校の医学部編入試験の募集人数はとても少ないので、受験校を増やすことで合格する可能性を上げることができます。
基本的に国公立大学も私立大学の医学部も受験する際の年齢制限は設けられていません。

私立大学の滑り止め受験者

編入試験は私立大学では現在、岩手医科大学医学部のみ実施しています。
東海大学医学部編入試験は実施されなくなりました。
北里大学でも医学部編入試験は実施されていますが、数学以外は一般入試と同じ受験問題の試験となるため、とても受けにくい医学部編入試験となります。
また岩手医科大学医学部では転部制度も行っています。
転部制度とは同大学で学部を変更したい際に、2年進級時に行われる試験のことです。

基礎医学の知識と試験内容

次に、基礎医学の知識と試験内容について解説します。

歯学出身者の試験対策

歯学部出身者の試験対策で一番有利なのは、生命科学の分野ではないでしょうか。
他学部に比べ、生命科学系基礎分野で得点を狙いやすく受験が有利になることが多いです。
受験する大学により異なりますが、生命科学と英語は必須なところが多いため、これらをしっかり対策することが重要となってきます。

試験内容の詳細

一次審査が書類審査の国公立大学は、秋田大学、金沢大学、岡山大学、大分大学の4校です。
二次試験の際に、生命科学や数学、英語、小論文や面接などがあり、受験する大学によって二次試験の対策も変わってきます。
一次試験で面接があるのは国公立大学では鳥取大学、私立大学では北里大学です。
その他多くの大学では、一次試験に生命科学、英語、数学、他に小論文などが課せられることがほとんどです。
試験科目の少ない大学でしっかり対策することで、文系出身の人や社会人受験する人でも受験することが可能です。
しかし、受験科目の少ない大学は受験者数も多く人気なため、非常に合格までの道のりが厳しい傾向にあります。

医学部編入試験制度

医学部編入制度について説明していきます。

大学二年次以降の受験制度

医学部編入学試験を受験し合格すると2年次あるいは3年次に編入できます。

この医学部編入制度を利用すれば大学や短大、専門学校へ通学しながら、医学部を目指すことができます。

また受験科目が少ないため、受験勉強も狭く深く学習できるというメリットもあります。

一般の入試と違い国立大学も複数受験することができます。
各大学により受験科目が違うため、対策は難しく編入枠も少ないため非常に難易度は高くなりますが、チャンスが沢山与えられるのはメリットと言えるでしょう。

試験の出題範囲

大学によって出題範囲が違います。

2023年のデータをもとに表にしてまとめました。

1次試験科目 2次試験科目 3次試験科目
旭川医科大学 学力試験(生命科学、英語) 個人面接
北海道大学 生命科学総合問題 課題論文、面接
弘前大学 基礎自然科学、数学 個人面接
秋田大学 書類 小論文、生命科学、面接
筑波大学 学力試験1・2、適性試験1・2
群馬大学 小論文Ⅰ、小論文Ⅱ 面接
東京医科歯科大学 削全科学総合問題 面接
富山大学 課題作文、総合試験 口頭発表及び面接
金沢大学 書類 生命科学 口述試験
福井大学 自然科学総合(生命科学) 面接
浜松医科大学 生命科学、外国語(英語) 詳論文、面接(個人)
名古屋大学 英語、生命科学を中心とする自然科学 小論文、面接
滋賀医科大学 総合問題、外国語(英語) 小論文Ⅰ・Ⅱ、個人面接
大阪大学 学力検査 小論文、面接
神戸大学 生命科学と英語の総合問題 口述試験
奈良県立医科大学 英語、数学、理科 面接試験(口頭試問)
鳥取大学 基礎科学、英語、面接
島根大学 外国語(英語)、自然科学総合問題 面接
岡山大学 書類 生物学、面接
山口大学 学科試験、小論文試験 面接試験
香川大学 自然科学総合問題 面接
愛媛大学 自然科学総合問題 個人面接
高知大学 総合問題 面接、グループワークワーク
長崎大学 生命科学系科目 小論文、面接
大分大学 書類 生命科学に関する総合問題、英語 個人面接、発表及びグループディスカッション
鹿児島大学 学力試験Ⅰ、学力試験Ⅱ 個別面接
琉球大学 生命科学試験Ⅰ、Ⅱ 小論文、個人面接
岩手医科大学 学科試験➀②、小論文 面接
北里大学 基礎学力検査、論文、面接

生命科学系基礎の重要性

医学部編入試験に必要な科目として「生命科学」があります。

生命科学とは、高等学校で学習する生物学に加えて、生化学・生理学・分子生物学などを含んだかなり幅広い分野です。

医学部で行われる授業は生命科学を基本としていることがほとんどであるため、生命科学を理解できていなければ医学部に編入できても授業についていくことが難しくなります。

そのため医学部編入試験では特に生命科学が重要視されています。

中でも分子生物学が頻出問題となっており、その他にも細胞生物学、生化学なども出題されています。
基礎的な分野での出題で、専門的な深い部分までの問題は少ないため、しっかりと勉強していれば対応できる科目です。

専門用語を覚えるだけでなく、深い理解を求められるため、きちんと理解し他人に説明できるようにしておきましょう。

医学部学士編入制度

医学部学士編入制度とは医学部以外の分野を専攻し、「学士」を得た4年制大学卒業者が医学部の2年次、3年次に編入できる制度です。

編入学すれば1年次からではなく、2年次・3年次に編入し専門課程からスタートすることができます。

また受験科目が少ないため、受験勉強も狭く深く学習できるというメリットもあります。

一般の入試と違い国立大学も複数受験することができます。
各大学により受験科目が違うため、対策は難しく編入枠も少ないため非常に難易度は高くなりますが、チャンスが沢山与えられるのは医学部学士編入試験の利点と言えるでしょう。

制度の概要

選抜方法は多くの大学では筆記試験と面接試験(一次選考が書類審査だけといった大学もあり)になります。
学科試験の成績の他にも、大学での専攻・社会人経験の有無・面接(集団討論等)など、総合的に評価することにより選考されます。

筆記試験は、大学ごとに出題範囲が違ってきます。
ほとんどの大学で「生命科学」と「英語」(外国語)の2科目は必須になります。
生命科学とは、生物の起源、進化、構造、機能、成長、発達、繁殖などに関する科学的な研究を含む幅広い分野を指します。
生命科学の分野としては、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、進化生物学などがあり、生物系学部出身者であったとしても、これらの範囲の出題に苦戦される方はとても多いので、対策はしっかりしておきましょう。

文系であったり、物理を履修されていない方は、数学や物理、化学といった科目を避け、生命科学と英語の2科目に絞る傾向があります。
ですが、募集人員も限られるため、高い得点率で差を付けることが必須です。
そのためにも数学・物理・科学の頻出分野について、高校の章末問題が解けるように対策することがとても重要になってきます。

定員と受験校数

2023年分のデータをまとめました。

国公立一覧

受験校名 定員数
北海道大学 5名
旭川医科大学 10名
秋田大学 5名
弘前大学 20名
群馬大学 15名
筑波大学 5名
東京医科歯科大学 5名
浜松医科大学 5名
金沢大学 5名
富山大学 5名
福井大学 5名
名古屋大学 4名
滋賀医科大学 15名
大阪大学 10名
神戸大学 5名
奈良県立医科大学 1名:大学在学生の状況により合格者を2名以上とする場合がある。
鳥取大学 5名
島根大学 各5名
岡山大学 5名
山口大学 10名
香川大学 5名
愛媛大学 5名
高知大学 5名
長崎大学 5名
大分大学 10名
鹿児島大学 10名
琉球大学 5名

私立一覧

大学名 募集人員
岩手医科大学 若干名
北里大学 若干名

編入学試験対策

歯科医師から医学部の編入学試験を受けるにあたって、どのような対策をしたらよいのか詳しく解説していきます。

歯学部生・歯科医師の対策方針

医学部の編入学試験では、ほとんどの大学で筆記試験と面接試験が課せられます。
筆記試験の試験科目はどの大学も「生命科学」と「英語」が課せられるため、なのでその2科目中心に学習を進めることをおすすめします。
他には、出題傾向がほとんど変わらないため安心して受験計画を立てることができます。

面接試験では、人物評価を重んじる傾向にあります。
筆記で失敗しても、面接でそのために、面接練習を行う必要があります。

ダブルドクター・ライセンスの利点

ダブルドクターライセンスの利点について説明します。

ダブルドクターライセンスとは、医師免許とは異なる分野・職業の免許または資格をさらにもう一つ取得することを指します。
例えば、医師×弁護士や医師×歯科医など様々な組み合わせの例があります。

医師免許に合わせてもう一つ免許を得ることで、就職した際に他の医師より一目置かれ、自分のやりたかったことができる可能性があります。
ほかにも医学的な目線はもちろん、他の分野からの専門的な視点のおかげで、良いところや改善点が見つかるかもしれません。

まとめ

この記事では、歯科医師または歯学部から、医学部に編入試験を受ける方法や対策方針について解説しましたがいかがだったでしょうか。
医学部に編入しようとすることは、決して容易なことではありませんが、医進の会では、超一流のプロの講師の指導とチューターのサポートで編入試験に合格することができます。
少しでもご興味のある方は医進の会までお問い合わせ下さい。