薬学部受験に必要な勉強時間は?始める時期・おすすめの勉強法

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カテゴリ:勉強・対策

近年医療のニーズが高まるなか、薬学部は研究職や薬剤師、健康管理といった多岐にわたるキャリア選択ができる将来性の高さから人気が上昇しています。
では、どのように学習を進めていけば薬学部に合格することができるのでしょうか。
本記事では薬学部受験の勉強法や勉強を始める時期、私立・国公立それぞれの受験科目や対策方法について解説しています。
薬学部受験を考えている方は必見のコラムです。

薬学部の勉強はいつから始める?


では薬学部に合格するには、いつから勉強していけばよいのでしょうか。
各学年ごとに見ていきましょう。

高校1年生

高校1年生で大切なことは、基礎固めをしっかりと行うことです。
基礎が弱いと本格的に受験勉強を始める際に、応用がききにくかったり、新しい学習に対する理解度が下がってしまうなど今後の学習に大きな影響を及ぼします。
そのため高校1年生では、普段の授業のなかで分からないところは積極的に質問し、徹底的に復習を行いましょう。

高校2年生

高校2年生では、1年生のときと同様ですが基礎固めを行いますが、授業で習ったことだけでなく問題集を活用するなど習った知識を実践していきましょう。
また、高校2年生になると多くの高校では、理科や社会の科目を選択しより専門的な学習を行います。
薬学部に進学するためには、やはり化学の勉強にも力を入れていきましょう。

高校3年生

高校3年生からはじめる生徒は、定期試験や模試の結果を踏まえて自身の課題を明らかにし、基礎固めが出来ていないところを塾や予備校を利用して徹底的に無くしていきましょう。
また、受験までの時間が近づいていることから、志望する大学の過去問にも取り掛かり、実践的な演習を積んでいきましょう。

薬学部を目指すには志望校に特化した勉強が必須


薬学部合格を勝ち取るためには、それぞれの志望校に合わせた勉強法が重要となってきます。
では、具体的にどのような対策が必要になってくるのでしょうか。

入試科目・入試範囲・入試傾向・問題難易度に合わせた対策が必要

一言に薬学部と言っても、その科目や範囲、また傾向や難易度は各大学によって異なります。
入試科目は、基本的に英語、数学、理科の3教科型が主流となっていますが、国立大学薬学部は私立大学薬学部と異なり、数Ⅲが入試範囲に含まれることが多くなっています。
ほとんどの私立大学では、数Ⅲなしで受験することが可能ですが、文系学部よりも難易度が高く設定される傾向にあります。
入試傾向は、英語は医療系・薬学系を中心に長文読解が出題されることが多いです。
医療系の英単語は日頃から意識し身に付けておきましょう。
また、化学は入学後に学習内容に触れる有機化学からの出題が多い大学もあるため、配点が高い場合は注意して勉強をしましょう。
問題の難易度は大学によって様々ですが、入学後に重要となる化学の配点を高くしている大学は多数あります。
ケアレスミスをなくし確実に解く力を付けましょう。

薬学部は人気の学部なので志望大学だけの対策が必要

薬剤師は人気のある職種で、小学生女子児童の将来なりたい職業で9年連続トップ10入りをなしています。
そのため、薬学部の入試倍率は比較的高く、人気のある大学ではおよそ3~7倍の倍率になります。
中でも偏差値や倍率の高い大学の薬学部は、合格するにあたってしっかりと対策を取ることが必須です。
2020年度の一般入試のデータによると、北海道大学7.5倍、近畿大学6.6倍、千葉大学3.8倍、慶應義塾大学3.7倍と国立大学、私立大学問わず倍率高かったです。

私立大薬学部の受験科目一覧

私立大学薬学部の受験科目を表でまとめてみました。

慶應義塾大学 英語
数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B
理科(化学基礎・化学)
東京薬科大学 英語
数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B
理科(化学基礎・化学)
立命館大学 英語
数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B
理科(物理基礎・物理または化学基礎・化学または生物基礎・生物)
近畿大学 英語
数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B
理科(物理基礎・物理または化学基礎・化学または生物基礎・生物)
安田女子大学 英語
数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A
理科(化学基礎・化学)
安田女子大学
(後期)
国語(現代文)
英語
理科(化学基礎・生物基礎)

基本的には英語、数学、理科が理科は選択ではなく、化学を指定する大学もあります。
英語についても今回紹介した大学は必須になっております。
そのため、受験校の科目については事前に調べておいて対策をする必要があります。

薬学部の受験科目と大学別入試科目の特徴について

薬学部に入るためには、国公立大学か私立大学という選択肢がありますが、それぞれ対策方法が異なります。
まずは、国公立・私立に分けて受験科目や入試範囲について確認しましょう。

英語 数学 理科
国公立 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B

数学Ⅲ
化学基礎・化学(必須)
生物基礎・生物
物理基礎・物理
から1科目選択
   or
化学基礎・化学
生物基礎・生物
物理基礎・物理
から2科目選択
私立 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B
 or
数学Ⅰ・Ⅱ・A
化学基礎・化学
           or
化学基礎・化学(必須)
生物基礎・生物
物理基礎・物理
から1科目選択
   or
化学基礎・化学
生物基礎・生物
物理基礎・物理
から1-2科目選択

国公立大学よりも私立大学の方が科目に対する柔軟さがあると思います。
そのため自分の得意・不得意に合わせて受験校を選ぶことが出来ます。
また、私立であれば自分の受験校の科目に合わせて集中して勉強することも必要となります。

国公立大学薬学部の大学入学共通テストと2次試験対策は?

国公立大学の薬学部に進学するとなると、入試は「大学入学共通テスト」と「2次試験(個別試験)を通過する必要があります。
国公立大学は学費が安いため、6年間通わなくてはならない薬学部などは目指す人が多く倍率が高くなり、そのうえ、私立に比べると入試範囲も広いため、前もって準備をしておきましょう。
薬学部偏差値最上位である東京大学、京都大学などでは、8.5割程度、大阪大学、千葉大学、九州大学は8割、その他、国公立薬学部は7割程度共通テストでは必要とされています。
共通テストと個別試験の総合で最終的に合否を出す場合があるため、余裕を持つためには、この目安より少し高めの数字をとれると心の余裕にも繋がります。
二次試験では、大学によって問題傾向が異なります。
そのため難関だとされていても問題が難しく捨てるところを捨てるのか、問題が易しいため解ける問題を取りこぼさないようにする必要もあります。

【科目別】薬学部を目指す人におすすめの勉強法


薬学部に入るためには、国公立と私立で対策方法が異なるとしておりましたが、共通する部分も多くあります。
ここでは、そういった共通してやるべき勉強法や国公立、私立に分けた勉強法をご紹介します。

英語の対策方法

英語は入試に置いて重要ですが、薬学部においても非常に重要です。
英語で高得点を取るためには、前提に単語の知識があり、そこから英文法がしっかりと理解できていることが必要です。
そこから、長文読解対策をしていくという大きな流れになります。
英語長文を正確に読むためには、英文解釈という英文の構造を理解することが必要です。
品詞分解だけでなく接続の構造や修飾関係など、英文を読む際には細かい所も目を付けられるよう、演習中から心がけましょう。
また、薬学部の英語は、薬学や医療をテーマにしている場合も多いです。
そういったテーマに合わせた語彙を増やしておくと、うまく読めるようになります。
過去問や問題集で出てきた薬学・医療系の単語はメモしておくようにしましょう。

数学の対策方法

私立薬学部では数Ⅲは出題範囲にならないことが多いため、対策をする必要はありません。
ただ計算が複雑であったり、問題数が多いといった傾向がみられます。
発想力や難易度の高い問題はあまり見られないため、試験問題を見て基礎問題であればすぐに解くことが出来る状態、解き方が分かる状態にしておきましょう。
国公立薬学部であれば、数Ⅲも受験範囲です。
ただし、優先として数学ⅠⅡABを解けるようにしておくべきです。
これらの科目は共通テストでも出題されるためです。
難関薬学部を目指す場合は青チャート、標準であれば黄色チャートの問題を解けるようにしておきましょう。
過去問演習やチャートで問題パターンを理解して、実際の入試に焦らず取り組める環境を作っておきましょう。

化学の対策方法

薬学部では、入学後化学の知識が必須となります。
そのため入試において化学を重要視している大学が多くあります。
化学を必須科目にしたり、英数と同じ配点、もしくは英数よりも大きい配点にしていることがあります。
出題傾向としては、他の理系の学部に比べると、理論化学からの出題は少ないことが多いです。
ただ入学後は有機化学が直結するため、配点を高くしている場合もありますが、理論化学中心やバランスよく全範囲から出す大学とあります。
そのため、自分の関心のある大学については調べてみましょう。
私立薬学部の場合は基本的な問題(知識・計算)が多い傾向です。
これに加えて速度が問われる大学もあるため、正確に素早く解ける練習をしておきましょう。
薬学部では受験・入学後も化学の勉強を欠かせません。
苦手な場合は、毎日化学に触れて苦手を克服しておくべきでしょう。

生物の対策方法

生物は必須になることはありませんが、近畿大学や立命館大学では選択科目となります。
生物は暗記することが多いです。
そのため、教科書レベルの基礎を固めていきましょう。
ホルモンの働き、免疫、生物の体内環境が頻出傾向にあり、全体的に知識問題が多く出題されます。
ただ、選択式ではなく論述させる場合もあるため、記憶するだけでなく理解して説明できるようにしておきましょう。

物理の対策方法

物理を選択科目として受験できる近畿大学・立命館大学や必須となっている東北大学・金沢大学などがあります。
物理では、力学が全ての基本となります。
物理が苦手な場合は、まず力学の公式・基礎知識を覚えるところから始めましょう。
力学がある程度理解できれば、電磁気・波動の分野に進みましょう。
大学によっては原子などを出題する場合もあるため過去問を解いて出題傾向を掴んでおきましょう。

地学の対策方法

薬学部では地学を受験科目にすることはほぼありません。
一部の国公立薬学部においては共通テストで地学を選択できますが、2次試験では使うことができず負担になるため、共通テストで選択する人は少ないです。

【学年別】薬学部を目指す人におすすめの勉強法


受験勉強において早くはじめるにこしたことはなく、また薬学部ときまっていれば対策をしっかりと行うことが出来ます。
今回は高校1・2・3年に分けて薬学部の受験対策についてまとめてみました。

高1から始める薬学部の受験対策

高1では各科目で基礎となる場所を学習します。
ここで挫折してしまうとこの先理解が難しくなるため、まずは授業の内容や教科書の内容を理解するようにしましょう。
数学と英語は特に力を入れておくべき科目です。
共通テストで国語が必須になる大学を受験する場合は国語の勉強もしておきましょう。
後に英語の理解にも繋がります。

高2から始める薬学部の受験対策

高2から受験対策を行う場合は、高1と同様、数学・英語の2教科と国公立の場合は国語の基礎固めに力を入れると良いでしょう。
これらの基礎固めがある程度できれば理科の基礎固めも行います。
薬学部であれば大半が化学が必須となっていますが、自分の受験する大学に合わせて理科を基礎から固めていきましょう。
そのため一般的には数学・英語(国語)から化学の順で対策していくことになります。
国公立薬学部であれば共通テストで化学以外に理科でもう一科目必要になりますが、それらの科目に移るのは高校2年の冬から高校3年で良いです。
高3になって共通テスト対策を上手く行うためにも、高2の間に出来る限り英語・数学・化学の基礎固めを行っておきましょう。

高3から始める薬学部の受験対策

高3から受験対策を行う場合は、少しスタートが遅れてしまった分英語・数学・化学の基礎固めを急いで行わなければなりません。
国公立薬学部を受験する場合は現代文も学習しておきましょう。
夏休み前までに英語・数学・化学は教科書レベルの理解はできるようになっておきましょう。
国公立薬学部の場合は、高3から遅くても共通テスト対策を始めましょう。
この場合は、国語(古典)・社会・理科(物理、生物)の勉強も進めておきましょう。
秋から冬の時期は過去問対策を行い、各大学の傾向を掴むようにしましょう。
頻出単元に関しては、類似問題を解いて確実に点数にできるようにすることも1つの手です。
問題集や過去問で不正解になった問題についてはしっかりと復習をし、解けるようにしておきましょう。

薬学部を受験する人の勉強時間は?


薬学部を受験する人の勉強時間についてまとめてみました。
勉強時間はひとりひとりの状況や勉強スピードによって異なるものですので、1つの参考として見てください。

通常時は1〜2時間

通常では1-2時間と言われています。
少ないと思われた方も多いのではないでしょうか。
確かに1~2時間の勉強時間は決して多くはないでしょう。
ですが、学校行事や部活等をしながら1~2時間の勉強を毎日続けるのは結構しんどいです。
通常時の勉強をする上で注意しないといけない重要なことがあります。
勉強を何時間したかを意識するのではなく、何をどれだけ勉強したかを意識することです。
つまり、「勉強は量ではなく、質である」ということです。
集中力が低下している状態で単純に書き写しているだけでは学習とは言えません。
単純作業をしているだけになってしまいます。
今から何を学習するのかしっかり目標を確認し、集中して勉強するようにしましょう。

テスト前は3〜5時間

テスト前の勉強時間は3~5時間程度です。
もちろんテスト前の勉強であっても通常時と同じく量より質が重要であることには変わりありません。
また、3~5時間勉強したといっても絶対に合格できるとは限りません。
やみくもに長時間勉強するのではなく、通常時の勉強方法と同じくしっかりとした目標を持ち、質を落とさないよう集中して勉強するようにしましょう。

普段から学習習慣をつけておく

テスト前に長時間勉強して詰め込むのではなく、短時間でもテスト合格できる勉強方法は普段からしっかりと勉強しておくことです。
テスト前に一気に詰め込むような勉強では間に合いません。
短期間で一気に勉強するのではなく、普段からしっかりと学習していればテスト前で慌てることはないでしょう。
普段から毎日1~2時間、集中して勉強が出来ていれば、長時間であっても質を落とすことなく勉強することができるでしょう。

シングルタスクを意識する

次にシングルタスクを徹底しましょう。
一度に1つのことしか行わないことをシングルタスクと言います。
勉強する科目が多いと、今勉強していることと違うことや違う科目のことも考えてしまいがちです。
あれもこれもしないといけないと思うことも、複数のことを同時に行うマルチタスクにあたります。
勉強以外のことはもちろんのこと、今勉強していること以外は全て忘れて、今勉強していることのみに集中しましょう。

インプットよりもアウトプットを意識する

短時間でも効率よく勉強するにはインプットよりアウトプットを意識することです。
インプットとは授業を聞く、教科書・参考書を見るなどの頭に情報を入れることを言います。
問題を解く、要約するなどの頭にある情報を使うことをアウトプットと言います。
教科書や参考書などを見ているだけではなかなか理解できません。
効率よく勉強するためには自分の頭にある情報を使い問題を解くなどアウトプットの勉強法を取り入れましょう。

薬学部受験におすすめの参考書・問題集


薬学部受験におすすめの参考書・問題集を科目別にまとめました。

科目 参考書・問題集
英語(長) 英語長文ハイパートレーニング
やっておきたい英語長文
イチから鍛える英語長文
英語長文ポラリス
レベル別英語長文問題Solution
特訓リーディング
英語長文問題精講
英語長文レベル別問題集
全レベル問題集英語長文
スピード英語長文
英語(解釈) 肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本
英文読解入門 基本はここだ!
英文解釈の技術70・100
ポレポレ英文読解プロセス50
英文読解の透視図
超・英文解釈マニュアル
ビジュアル英文解釈
英文解釈教室
大学受験のための英文熟考
基礎英文問題精講
文系数学 やさしい高校数学 ⅠA・ⅡB
全レベル問題集 1
全レベル問題集 2
共通テストの過去問
志望校別の過去問 など
理系数学 白チャート
やさしい高校数学
初めから始める数学
黄チャート
基礎問題精講
合格る計算
青チャート
赤チャート
化学 入門~基礎レベル編
 「橋爪のゼロからわかるシリーズ」
 「宇宙一わかりやすい高校化学シリーズ」
標準~上級編
 「大学受験Doシリーズ」
問題演習・実践編
 「センター試験化学の点数が面白いほどとれる本」
難関大学向け
 「化学 標準問題精講」

主なおすすめの参考書・問題集をご紹介しましたので、参考書・問題集を選ぶ際に参考にしてみてください。

まとめ


薬学部受験の勉強法についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
薬学部は難易度も高く、競争率も高い人気の学部です。
薬学部合格を目指すのであればしっかりと対策を立てて、間違いのない効率の良い勉強方法で勉強をすることが重要となります。
学年別や科目別の勉強方法や勉強時間、勉強内容について悩まれている方や疑問に思われている方はぜひ参考にしてみて下さい。