京都大学 コース・実績

文系

英語

大問数4題(2019年は大問3題)
試験時間120分
解答形式記述式(2016~2018年度は読解問題の一部で選択の出題あり)
傾向

出題英文の内容は高度で、抽象度の高い英文と具体的内容の英文が各1題という組み合わせで、科学、歴史、哲学関連の英文が多い。和文英訳は1問につき3~5文であり、自由英作文がある。

対策

英語でも日本語でも知っているだけではなく自分がそれを使うという語句を増やしていくことが大切で、日頃から辞書によく目を通しておく。読解も英作文も単語を置き換えるだけでなく、全体を素早く的確に読み通し自分の力でそれを説明できる力をつけておく。読解問題は訳文を書くことを心がけ、和訳の練習は直訳を心がけること。英作文もまず書くことから始める。時制や数、冠詞などの点検や自分で検討できることは全部したうえで、第三者に添削してもらう。

日本史

大問数4題
試験時間90分
解答形式記述問題と論述問題が中心で年度により短文の論述問題が、選択問題、配列問題もある
傾向

史料問題、小問集合、総合問題、論述問題という構成である。対八は教科書の標準的な内容を問う問題であるが、解答は標準的な用語であっても用語の正確な意味や関連事項に関する知識がなければ正答できない問い方をする。記述問題でスピーディーに解答し、配点の大きい論述問題でも確実に得点する必要がある。

対策

教科書学習が第一で、前時代の全範囲について地道な学習を積み重ねる。歴史用語を暗記するだけでなく、歴史に関する考察力を養っておく。正確な記述を心がけ、普段の学習でも書いて覚えることを意識する。史料学習の際は内容特定のキーポイントになる文言を意識しながら読んでいく。論述問題は設問文が2、3行程度というシンプルな形式で、因果関係に注意して教科書学習をすれば得点できる。

世界史

大問数4題
試験時間90分
解答形式長文論述(300字)、語句記述と短文論述
傾向

アジア地域では中国史は必出で、その他は西アジア、インド、朝鮮史からの出題が多い。2022年度は長文論述が東南アジアであったため今後も注意しておきたい。欧米地域では、西ヨーロッパ、北アメリカ、東欧・ロシアからの出題が多い。時代は古代から現代までまんべんなく出題されている。政治史からの出題が大半を占めるが、社会・経済・文化史もバランスよく出題される。長文論述問題は基本的・重要なテーマを扱う。記述法の問題の大半は標準的である。問題が標準的とはいえ限られた時間での解答は至難の業と言えるので時間配分が重要となる。

対策

ほぼすべての問題が高校教科書の範囲内で出題されているが教科書によりばらつきがあるため、慣れ親しんだ教科書と副教材を使った学習が合理的。論述問題の出来が合否を左右することになる。短文論述問題は語句説明や事件・出来事の原因や背景などが問われることが多いので教科書の重要事項の前後を注意深く読む。長文論述問題は中国史を中心に西アジアを核とするイスラーム世界、インド、東南アジアなどにも目を向けた学習が必要。300字の論述には約25~30分費やすと考えたい。過去問の解答例を読み、手順を踏まえて書く。読みやすく文章が通じるか、題意や問題文の提示に見合った内容になっているか、設問の条件に応えているか、必要な歴史事実が論理的・時系列的に正しく述べられているかが大切。

地理

大問数5題(2018年度までは大問4題)
試験時間90分
解答形式選択・記述・論述・描図法
傾向

日本の地形図読図、地図や統計表グラフが多く利用されている。最初に文章・統計・グラフの判定をしたあとにさまざまな設問に記述法や論述法で解答するパターンが多い。
論述はシンプルな形式が中心である。人口・都市・産業分野の出題率が高い。日常生活を素材とした行動空間や消費活動、現代的課題に関する分野がしばしばウエイトをもって出題されることがある。

対策

教科書の基本事項は全分野で確実に理解しておき、学習の際に出てきた地名は地図帳でその位置を確認する習慣を身につけ、地形図読図では海岸地形や河岸段丘・氾濫原の地形、カルスト地形の特徴など深い理解が求められる。統計表や統計に基づくグラフ・地図や位置図がよく出題されるため、学習の際にはこまめに統計書で具体的データを確認し、統計表を読み慣れておく。日頃から新聞・テレビなどのニュースに慣れ親しみ、民族紛争、環境問題、人口問題・情報化社会・経済のグローバル化など、現代的課題の知識を吸収し、それらを地理的視点から琉会する習慣を身につける。

数学

大問数5題(2019・2021年度は(1)が小問集合)
試験時間120分
解答形式全問記述式
傾向

出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列・ベクトル)。微分・積分、平面・空間図形、ベクトル、整数の性質、確率、数列である。公式に当てはめて解決するという問題は少なく、解法が一通りでないのが特徴である。解決の糸口を探るためにさまざまな可能性を思い浮かべる発想力が求められる。証明問題が出題されることも多い。図形的な直観力と判断力を必要とする問題も多い。また、パズル的な発想を要する問題、心的盲点をついた問題が出題されることもある。

対策

最低限必要となる公式や解法は教科書や標準的問題集でマスターする。1問解くごとに解法を点検して必ずそこから何かを吸収するという意識が大切。問題を解くために使った公式や解法でマスターできていないことがあればその場で実践的に理解することを心がける。頻出項目や重要項目は日々の勉強の中に確実に組み込んで十分な練習をする。符号ミスなどの単純ミスをなくし、複雑な計算を最後までやり抜く粘り強さや計算技術の向上に努める。論証問題の出題が多い。求められる厳密な論理的思考力やそれを正確に伝えるための表現力は、日々の勉強の中での考える習慣が大事である。ときには1題1題丁寧に、いろんな角度から別解を考えるのもよい。

国語

大問数現代文2題、古文1題の合計3題。例年【1】は理系と共通問題。(設問は文系の方が一問多い)
試験時間120分
解答形式全問記述・論述形式
傾向

現代文は、評論や随筆からの出題が多く、小説が出題されることもある。出典は明治から現代にかけての作家、または評論家や界研究者の文章で、文章量としては標準的な入試国語の分量と言える。しかし、難度の高い文章が出題されるので抽象的な表現にも対処しうる読解力・表現力が要求される。問題自体は標準的なため、解答の完成度のたかさが要求される。古文は和歌を含む文章からの出題が多い。時代は中古~近世にわたる。文章量は10~20行程度で年度によってばらつきがある。設問のかなりの割合を口語訳問題が占める。明快な文章が多く、解答欄が要求するだけの記述・論述量という点に着目すると、文章読解におけるかなりの注意力や理解力、表現力などが総合的に問われている。

対策

注意しておきたいのは解答スペースの大きさに圧倒されないことで何が問われているのかという設問意図をくみ取ったうえでむだのない答案づくりを心がけること。現代文は記述量が多いというところが最大の特徴であるから、まずは過去問にあたって実際に解いてみることである。評論・随筆の出題が中心だが小説も出題されている為一般的な問題集などを活用して演習しておく必要がある。古文は口語訳、和訳が中心なので文法と古文単語を覚える。古文特有の省略や慣用的な表現には、古典常識も視野に入れつつ慣れておく必要がある。和歌の修辞・解釈は頻出なので、市販の参考書などにある和歌修辞の項目は例まで頭に入れておく必要がある。

理系

英語

大問数4題
試験時間120分
解答形式一部選択問題が出題されたこともあるが、大部分が記述式である
傾向

出題内容は読解問題と英作文問題である。読解問題の出題内容の英文は高度であり、抽象度の高い英文と具体的内容の英文が各1題という組み合わせで、科学、歴史、哲学関連の英文が多い。下線部和訳問題の中には、下線部外にある内容を踏まえた上で語句を補い分かりやすく説明的に訳出する必要があるものもあり、実質的には内容説明問題で試される力が必要とされると言える。英作文問題では、和文英訳と自由英作文が出題されており、和文英訳では英訳の対象となる日本文がこなれた表現の多い随筆的な文章であり、そのままでは英訳しにくい。
読解、英作文とも逐語訳では太刀打ちできず、高度な内容を十分に消化した上で日本語・英語で表現する必要があるので難問である。

対策

読解問題は、下線部中心の読解ではなく、全体を素早く的確に読み通せる読解力を養成し、設問箇所に見慣れない語句が入っていることもあるだろうが、前後関係から推測できるよう訓練しておくこと。また、英作文では英語の単語や構文・イディオムを熟知しておく必要がある。
英語でも日本語でも、単に知っているだけでなく使えるレベルにある語句を増やしておくことが大切である。特に和文英訳の際は、問題文の日本語がこなれているので、英訳の対象となる日本文を英訳しやすい日本語に言い換えることがポイントとなる。自分が蓄えている英語表現に対応する日本語にパラフレーズできて初めて、和文英訳ができるといえよう。案外気がつかないところで、英語としてはおかしいのに日本語をそのまま置き換えていることがあるので注意することが大切である。下線部和訳の場合でも、普段から和訳の練習をするときには、知らない語句をすぐ辞書で調べるのではなく、ひとまずこのような意味ではないかと推測して訳文を作ることが重要である。
読解でも英作文でも単語を置き換えただけでは通らないレベルの問題が出題されるため、必要なのは「結局何が言いたいのか」ということが理解でき、自分の言葉でそれを説明し直せる力である。近年、読解問題で出題されている下線部説明や空所補充では、この力がより求められている。

数学

大問数6題
試験時間150分
解答形式全問記述式
傾向

出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列・ベクトル)、頻出項目は微分・積分、確率、三角関数、整数の性質、数列、極限、ベクトル、複素数平面であり、各年度ともやや易レベルから難レベルの問題までずらりと並んでいる。
公式に当てはめただけで直ちに解決するという問題は少ないため、解法が一通りでないのも特徴である。また、図形的な直観力と判断力を必要とする問題も多く、図示問題も時々出題され、論証問題と合わせ、大きな特徴となっている。パズル的な発想を要する問題や心理的盲点をついた問題が出題されることもある他、高度な計算力を要する問題も多い。

対策

問題を1題解くごとに解法を点検して、必ずそこから何かを吸収するという態度が大切である。1題に対して複数の解法がないかなど多角的にアプローチする習慣をつけ、柔軟な思考力を養いたい。
符号ミスやカッコの処理のミスなど、よくある単純ミスをなくすことはもちろんだが、複数で手間のかかる計算を最後までやり抜く粘り強さや、計算技術の習得に努めなければならない。三角関数の諸公式を自在に活用する力や、積分計算の技術力は、合格のために不可欠である。頻出の証明問題では、筋道の論理的厳密さとそれを採点者に正確に伝えるための表現力が重要な要素となる。また、論証問題と共に京大数学のもう一つの柱である図形問題では、初等幾何の知識を整理し、要点をピックアップすることをすすめる。

物理

出題範囲物理基礎・物理
大問数3題
試験時間教育学部理系試験は1科目90分、その他の学部は2科目180分
傾向

解答形式は例年、空所を埋めて長文を完成させる形式が中心であるが、近年は論述問題(計算・導出過程を求められる記述式の問題を含む)が増加し、2016年度以降は続けて出題されている。描図問題もほぼ毎年出題されている。全体的に、基本的な設問と、やや難解な設問とがバランスよく組み合わされている。
2017年度は〔1〕問1の字数制限のある論述が目新しかったが、内容は基本的であった。2022年度は〔2〕問1で「説明のために、図を用いても良い」という目新しい形の論述問題があり、計算量も多かったので、2021年度より難化した。

対策

物理の学習には基礎が大切で、まずは力学、電磁気、熱力学、波動、原子の各分野の基礎事項を系統的に理解することである。基礎的な事項をしっかり理解していれば正解できる設問がかなり出題されるので、これを確実に解くことが絶対条件となる。長い文章の空所補充問題が毎年出題されている。これに対応するには、限られた時間内に題意を正確にとらえる読解力を養っておくことが大切である。そのためには、過去問やそれに類似する問題を解いて練習することが必要である。

化学

出題範囲化学基礎・化学
大問数4題。ただし、1題の中で(a)、(b)などの中問に分けられていて、実質6~8題分になることもある。
試験時間教育学部理系試験は1科目90分、その他の学部は2科目180分
解答形式全問記述式
傾向

論述問題が出題されることもあり。どの問題も比較的易しい知識の確認からはじまり、しだいに高度な設問になるように構成されている。問題文の的確な読解力、高い計算力、深い思考など総合力が要求される問題が多い。また、試験時間に対して問題量が多いので容易に解答できない。

対策

教科書にある基本的な知識を確かなものにし、理論分野を徹底的に理解し、標準的な問題集を使って演習を増やすことで標準レベルのものを取りこぼさないようにする。最終の数値だけ答える場合は、部分点は期待できないので高い計算力が要求される。代表的な元素をまとめ、他の元素はその代表的な元素の性質とどこが違うか調べておく。炭化水素は特徴な構造と反応を、ヒドロキシ基やアルデヒド基などの官能基はそれぞれの関係を系統的に矢印などで結んで図にしておくと効果的である。高分子化合物は細かな点まで覚えられるようにする。新聞などの科学記事も読んでおく。

生物

出題範囲生物基礎・生物
大問数4題。ただし、大問の中で(a)、(b)などの中問に分けられており、実質6~8題程度になることが多い。
試験時間教育学部理系試験は1科目90分、その他の学部は2科目180分
解答形式全問記述式
傾向

年度によるが論述問題の分量が多い。「知識問題」+「考察問題」の2本立てで思考力・総合的な理解力・判断力を必要とするものが中心である。グラフ・模式図などを使って構成された問題や各種のデータについて考察されるものが多い。全般的に幅広く出題されているが、頻出の分野は遺伝情報、動物、植物の反応、代謝、生態、進化・系統である。

対策

論述問題が必ず出題され思考力を必要とするものが少なくないため十分な対策をしておく。問題集などで時間や字数を設定して実際に文章を書いてみて、できれば第三者から添削指導を受けると良い。実験結果の資料についての分析や推論は例年出題されるので教科書の図・グラフ・表などの内容をしっかり理解し問題集や図説などによく出てくる図やグラフは自分で描けるようにしておく。生物の研究方法に関連した出題にも対応できるようにしておく。